(2020年度)慶應経済通信教育課程で、合格をいただいた憲法のレポートです。初回合格でした。大嘗祭の政教分離違反をテーマに論じています。
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国をはじめとする公的機関に対し、宗教との関わりに一定の規制を課す日本国憲法の政教分離の原則。日本国憲法の制定とともに規定され、しばしば公的機関の宗教的活動に同原則が抵触しないか議論の俎上に載せられてきた。
政教分離の原則を巡っては、判例を基にした目的・効果基準あるものの、合憲・違憲を分ける判断が曖昧であるほか、国家の宗教への関与を一切否定する憲法の厳格な規定を背景に、現行の政教分離制度や最高裁判例に対する敵対的な言説はとどまるところを知らない(岩隈、2016年)。直近では、2019年11月に実施された天皇陛下の即位に伴う皇室行事である大嘗祭が政教分離に違反しないかと論議が噴出した。
そこで、本レポートは、第一節で大嘗祭の定義について、第二節で政教分離原則に違反するか否かの判定基準について、第三節で2019年実施の大嘗祭が政教分離原則に違反するか否かの判定について、それぞれ述べ、現行の政教分離原則への議論を重ねることにする。
第一節 大嘗祭の定義
大嘗祭が政教分離原則に違反するか否かの議論に入る前に、皇室行事にあたる大嘗祭が何であるかを述べる。
大嘗祭は、即位の礼と並んで、...