法医学レポート(近畿大学 平成27年4月-29年3月)

閲覧数1,136
ダウンロード数1
履歴確認

    • ページ数 : 3ページ
    • 全体公開

    資料紹介

    タグ

    近畿大学法学法医学通信

    代表キーワード

    参考文献

    資料の原本内容

    法医学レポート(近畿大学 平成27年4月-29年3月)
    [レポート作成時へのアプローチポイント]

    このレポートの設題は、教科書に書かれた内容を的確にまとめられるかを問う基本型のものです。

    まず、教科書の目次より該当する章について再読しましょう。また、巻末の索引でも該当するページを確認しましょう。

    各設問に対して、教科書の内容を的確にまとめることが大切です。参考文献等は一切不要です。
    設題

    下記の(1)から(5)について、説明せよ。

    (1)法医学の定義と医学上の分類。

    (2)晩期死体現象。

    (3)臓器や血管に重大な損傷のある場合の死亡までのプロセス。

    (4)窒息死;縊死、絞死、扼死、溺死。

    (5)医療過誤における刑事責任。
    [合格レポートの例] ※あくまで参考です。
    法医学の定義と医学上の分類

    法医学は、「法律上の問題となる医学的事項を考察し、これに解決を与える医学である」と定義される。法医学は「医学の一部門」であり、法学の一部門である「医療を中心とする医事に関係する法律問題を研究する医事法学」とは異なる。

     一般に医学は、基礎医学と応用医学に分類され、さらに応用医学は、患者の診断・治療を目的して観察・研究し、治療の向上を図る臨床医学と、人間や社会や文化などの中に生ずる医学的問題を取り扱う社会医学とに分類される。法医学は、公衆衛生学などと共に、社会医学に属する。法医学は、人間社会の中に生じる法律上の問題となる医学的事項を取り扱うものであるから、医学全般が、その研究範囲となる。
    (2)晩期死体現象。

    人は、心臓および呼吸が終局的に停止し、瞳孔が拡大すると死亡したと診断される。三微兆候説をとった場合、その死亡直後から、全身において様々な変化が現れるが、その死体の変化ないし現象を死体現象という。死体現象のうち、死後、比較的早期に現れる変化で、腐敗現象が発生するまでのものを早期死体現象といい、それ以後の変化を晩期死体現象という。

    晩期死体現象は、腐敗・融解または白骨化といった細菌や動物その他の自然現象によるものが主である。

    腐敗

     腐敗は、死体内あるいは外部の細菌などによるものであるが、通常の腐敗が出現するためには、ある程度の温度と湿度および空気の流通が必要である。極めて低温化であれば、死体はミイラ化して腐敗は進行しない。

    蛆虫や蟻による損傷

     蛆虫や蟻による損傷は、死後の損傷の中でも重要となる。蛆虫の長さによって、だいたいの死後経過日数を推定することが出来る。蟻の蚕食は死後すぐに始まり、生前の表皮剥離に類似するが生活反応は見られない。

    白骨

     通常、死体は約一年で白骨となる。白骨化した死体を精査して身体的特徴や生前の損傷等を推定する。

    ミイラ化

    通気性がよく乾燥している場所ではミイカ化しやすい。完成すると永久死体と呼ばれる状態となる。

    死ろう化

    湿気が多く、通気性の悪い場所に放置された死体は腐敗が進行せず、脂肪が変性して蠟のようになること。
    (3)臓器や血管に重大な損傷のある場合の死亡までのプロセス。

    失血死および出血性ショック

     失血死は、血管が損傷され、急激かつ大量に出血した場合は、分単位の短時間で死亡することをいう。出血性ショックは、出血の量や出血速度が左程ではない場合は末梢循環不全に陥り死亡することをいう。

    臓器の損傷部からの出血

     脾臓や肝臓・腎臓を損傷すると機能不全というより損傷部よりの出血により死に至ることもある。肺や心臓の場合は、大量出血と機能不全により死亡に至る。消化管の損傷では腹膜炎の併発により数日後に死亡に至ることが多い。

    損傷を受けた臓器の機能不全

     脳挫滅や高度の脳幹の損傷では、直ちに志望する。頭部外傷による脳挫傷や血腫では、頭蓋内圧の亢進により、脳全体が機能不全となり死亡する。
    (4)窒息死;縊死、絞死、扼死、溺死。

     酸素の供給が不足あるいは停止したことにより生体が示す異常な状態を窒息という。窒息には、外窒息と内窒息があり、外窒息によって死亡した場合を窒息死という。

    「首吊り」による頸部圧迫による窒息死を縊死といい、ほとんどが自殺であるが、他殺の場合もある。

    自己の体重以外の力を索状物に加え、頸部を絞めることを絞頸といい、それによる死亡を絞死という。絞殺と自絞死とがある。

    被害者の頸部を片手又は両手で圧迫することを扼頸といい、それよる死亡を扼死という。他為によるものを扼殺という。

    なんらかの液体を気道内に吸引することにより、気管支端末や肺胞内が閉塞され、それによって生ずる窒息死のことを溺死という。気道内に吸引される液体を溺水という。

     

    (5)医療過誤における刑事責任。

        医師や看護師などの医療従事者の過失行為により発生した医療事故を「医療過誤」という。医療過誤には、作井と不作為のものがあるが、不作為のものが多いといわれている。一般に、医療は患者の生命や身体に重大な危険を及ぼす虞のある業務であるから、医師や看護師などの医療従事者の過失行為により、患者の生命や身体が侵害された場合には、刑法上は業務過失致死罪(刑211条前段)が成立し、それに基づく刑事責任が追及されることになる。

    業務過失致死罪が成立するためには、刑法上はこのような行為の原因となって患者の死亡あるいは症状の悪化といった結果が発生したという関係、つまり行為と結果とのあいだに因果関係があり、かつ行為者に業務上過失が存在しなければならないのが原則である。

    因果関係について学説は主として「条件説」と「相当因果関係説」とが争われてきが、現在の通説は相当因果関係説である。過失に関しては、旧過失論と新過失論との間で論争か展開されてきている。また、業務過失致死罪成立するための「業務」の概念は、判例ではかなり広く解されている。

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。