(2021)慶應通信経済学部専門科目「地理学Ⅱ」で合格をいただいたレポートです。地理院地図と地図コミュニケーションがテーマです。
※レポート作成の参考としてご利用ください。合格を約束するものではありませんので、丸写しはご遠慮願います。
'21 地理学Ⅱ(E)
はじめに
本稿では,国土地理院がインターネット上で発信する「地理院地図」を例に,地図コミュニケーションについて論じる。地理院地図には,単なる地図として利用できるだけでなく,様々な情報が網羅されている。これを土台に,地図作成者と利用者の間による情報伝達など,地図を介して繰り広げられるコミュニケーションについて論じる。
1)地図コミュニケーション
教科書『地理学Ⅱ(地誌学)』において杉浦は,地図によるコミュニケーションは,地図の作成者から地図の読み手へ情報を伝えるコミュニケーションだと述べている。地図情報を伝達する手段として「地図の作成者(情報の発信者)の「思い」や印象,そしてアイディアを,地図の読み手(情報の利用者)へと伝えるという,コミュニケーション」であるという(p.20)。また,ロビンソンとペチェニクは,論文「コミュニケーションシステムとしての地図」において,「たいていの著述が読者を想定しているように,たいていの地図作成は情報を伝えるべき読図者を想定している」という書き出しで始め,地図を介して,伝達という双方向における事象が行われることを「コミュニケー...