行政権の概念について
行政とは,近代における伝統的な権力分立主義の下に,立法及び司法に対して成立した概念である。憲法65条が、「行政権は、内閣に属する」とするのは(1)41条・76条1項とともに権力分立制を規定し、(2)民主的責任行政確保の視点から、行政権を内閣の監督下に置くことを宣言したものに他ならない。
法の支配の観点からは、行政権の行使を法律に基づかせることが立憲主義の目的であった。この点、法治主義も共通である。そして、この点からは、行政は法律の執行として観念される。よって65条も、内閣が法律の執行という形をとってしか行為しえないことを定めた規定と理解される。内閣も憲法に拘束されるわけだ...