統合実習
看護ケア提供システム
1チームナーシングシステム
看護単位のなかに 1 つないしは複数のチームを編成し、チームリーダーのもとに看護ケア
を提供するシステムで ある。
看護職によるチームで看護過程を展開し、チームメンバー全員によって、そのチームが担当
する患者の看護を 継続的に行う。
チームリーダーが責任をもってチーム内のメンバーに業務を割り当て、患者へのケアに責任
を負う。実際の患者 へのケアは割り当てられたメンバーそれぞれが実施するため、責任の
所在が不明確になりやすい。
チームナーシングにおける協働では、つねにチームの責任者に情報を集中させることを徹底
することが重要であ る。チームの責任者は、状況の把握に努め、効果的な割り振りを行
い、メンバーは、割り当てられた仕事とその 結果の報告を確実に行わなければならない。
2プライマリーナーシングシステム
1 人の看護師(プライマリーナース)が、患者の入院から退院までを一貫して担当し、担当患
者のすべての看 護に責任をもつ看護ケア提供システムである。プライマリーナースは、そ
の患者のケアに責任をもち実施するが、 不在時はプライマリーナースが立案した計画に基
づいてアソシエートナースがケアを実施する。
ケアに対する責任が明確になり、ケアの継続性が保証され、対象者に対する看護が効果的に
実践できる。一 方でプライマリーナースの能力により、提供するケアの内容に差があらわ
れ、対象者の受けるケアに差が生じるこ ともある。また、基本的に一人のプライマリー
ナースが対象者の入院から退院までのケアの責任をもつため、それ ぞれが独立して機能し
ているようにもみえる。ときには、プライマリーナース自身が「ケアのすべてに責任をもつ
こ と」を「ケアのすべてを自分が行う事」と錯覚し、協働してケアを提供するべき看護職
間の連携が不足したりする 可能性がある。
それぞれが自立してケアを提供することができる能力を持っている看護職の集団であること
が前提である。プライ マリーナーシングにおけるチームの協働は、それぞれのプライマ
リーナースの適切な情報交換と協力により、円滑 に成果を生み出すことができる。
3患者受け持ち方式
1 人の看護師が、1 人または特定の患者を受け持ち、1 勤務帯において受け持ち患者のケ
ア、患者・家族・ 医師間の調整など、看護のすべてを行う方式である。
患者側からみれば、受け持ちの看護師はおおむね日替わりとなるため、ケアの継続性という
点では困難がみら れる。
患者受け持ち方式においての協働では、口頭、もしくは文書による十分な情報交換、引き継
ぎを徹底すること が重要となる。
4機能別看護方式
患者の看護に必要な仕事を、検温、処置、与薬、注射などの業務内容ごとに分け、それぞれ
に係を決めて看 護師に割り当てる。
看護師の能力に応じた業務の割り当てができ、患者に差が生じることは少ないが、一方で、
断片的になるため、 総合的で継続的な看護を提供することは困難になりがちである。トー
タルなケアの責任は、その日の責任番、 もしくは勤務帯の責任者が担うことになるが、か
なり不明確である。
看護職の能力に応じて業務の割り当てができ、異なる技能レベルの看護職の集団に取り入れ
ることができる。 口頭、もしくは文書による適時・適切な情報交換や引き継ぎを行い、つ
ねにチームの責任者に情報を集中さ せることを徹底するなど、看護職間のかかわりが不可
欠なため、OJT に活用しやすい。
5その他
<モジュール型継続受け持ち方式>
1 看護単位内に小規模のチーム(モジュール)を編成し、モジュール内の看護師は一定期間固
定する。
そのなかで看護師は、プライマリーナースとしてそれぞれの患者の入院から退院までのすべ
ての看護を受け持ち、 プライマリーナースの不在時には、モジュール内のほかの看護師が
アソシエートナースとしてその患者を担当する。
<固定チームナーシング>
1 看護単位で 2 つ以上のチームを編成し、そのチームを一定期間固定し、リーダーとメン
バーが継続してチーム の受け持ち患者のグループにケアを提供する方式である。チーム
ナーシングよりも限られた対象に、限られたチー ム員でケアが提供される。
<パートナーシップナーシングシステム>
二人の看護師がパートナーとして複数の患者を受け持ち、対等な立場で互いの特性・能力を
活かしながら補 完・協力し合い、看護ケアを提供する方式である。パートナーとは、看護
ケアだけではなく、委員会活動・病棟内の係の仕事などについて、一定期間ともに活動し、
その成果と責任を共有する。
マネジメント
ある目的を達成するために、人々を動かしていくための活動である。
計画、組織化、指揮、統制のプロセスがある。マネジメントでは、そのプロセスのそれぞれ
において、つねに、現 状を見て分析すること、確認し改善すること、計画すること、実行
することなどを周期的(サイクル)に繰り返し 行い、良い状態を維持することが必要である。
計画:仕事の目的や目標、また、それらを達成するまでの工程の設定すること
組織化:計画の実現のために、資源(人的資源、物的資源、財的資源など)をどのように配置
し、責任や 権限をどのように配分するのか、有効で効果的な組織を編成すること。
指揮:計画通りに活動するために、組織のメンバーを誘導すること。このプロセスには、指
示・命令すること、指 導することや、動機づけなどを行い組織のメンバーの行動に影響を
与えることが含まれる。
統制:設定した計画に基づいて遂行された活動やその結果に対する検証、つまり計画・組織
化・指揮などの 各プロセスが適正に実施されたかの評価を行い、目的からの乖離があった
場合に修正を行うこと。
継続看護
安全管理
<プロセス>
ケアの提供に際して、発生する前に危険を想定すること、危険を予知すること、予防するこ
とが必要である。ま た、危険が発生してしまったあとは、その状態を確認し、それ以上危
険を拡大させないこと、原因を追究し、対 処すること、そして、以上のような一連の安全
管理のプロセスを決定。
<システム>
設計に際しては、1リーダーシップの構築、2人間がもつ限界に配慮したシステム設計、3有
効なチーム機能 の強化、4不測の事態への対応、5学習環境の創設、の 5 項目を基本として
設計する。
<危険> 看護を行う上で、最低限必要なのは、対象者に新たな危害を加えないことである。
新たな危害:療養環境での事故であり、誤薬、感染、転倒などにより、新たな健康問題をお
こしたり憎悪させ たりすることである。
<安全管理体制のポイント>
1安全文化、2対話と患者参加、3問題解決型アプローチ、4規則と手順、5職員間のコミュニ
ケーショ ン、6危険の予測と合理的な確認、7自己の健康管理、8技術の活用と工夫、9与
薬、10環境整備、
<医療安全管理者>
医療事故対策
<医療事故とは>
不可抗力によるものと過失によるものに分けられ、過失によるものを医療過誤という。
●事前の対処
一つのインシデントを全体で共有し、医療従事者それぞれが互いに協力することで、アクシ
デントになる前にとど めることも可能になる。
●発生後の対処 その状態を確認し、それ以上危険を拡大させないこと、原因を追求して対処
すること。 ●インシデントレポート
目的:事故の状況の報告と原因の究明、対処検討
薬物管理
事故防止の基本:確認を怠らないこと。基本的には「6R」と「3回確認」などがあるが、こ
の確認を確実に徹 底して行うことが薬物療法の安全確保の方策の一つである。
医薬品の取り扱いと管理(麻薬・毒薬・劇薬)
麻薬:麻薬は、麻薬取扱者の免許をもつ医師により処方されるもので、保管は施錠された場
所 と定められている。使用の際は、使用薬剤名、使用量、残量、使用者などを明記し、使
用後は 空アンプルも含めて薬局に返却する。
毒物・劇物:麻薬と同様に注意が必要。
<薬物の管理の方法>
1薬物一つひとつお使用の際に処方箋や伝票によって受け払いする方法
2一定の薬物の種類と量を決めて病棟で保有し、使用した分を補完する方法
3一定の薬物の種類と量を決めて病棟で保有し、セットごと定期的に交換する方法
正しい患者
正しい薬
正しい目的
正しい量
正しい経路
正しい時間
感染管理
スタンダードプリコーション
1血液、2目に見える血液を含むと含まないにかかわらず、すべての体液・分泌物・排泄
物、3傷のある皮膚、4粘膜 に適応される。
<感染対策の実際>
手指衛生、個人防護具の着用、隔離など
廃棄物の取り扱いと管理
感染性廃棄物は、特別管理廃棄物に指定されているため、医療機関などは、特別管理産業廃
棄 物管理責任者をおかなければならない。
感染性廃棄物の取り扱い
針刺し損傷や血液/体液暴露がおきてしまった場合には、ただちに血液などを押し出しなが
ら、流水と石けんで 洗浄を行い、その後は、すみやかに報告し、各施設の感染対策基準に
定められた対処を行う。
情報管理
情報とは、判断を下したり行動をおこしたりするために必要な事実や数値な...