「障害者の理念について述べよ。」
障害者福祉の基本的理念
『障害者福祉法』の第1条には「障害者の自立と社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進し、障害者の福祉を増進すること」と、この法律の目的であると規定がならせている。
障害者福祉の基本的な理念は、障害者基本法第3条に以下のように規定がされている。「すべて障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有する」「すべて障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加をする機会が与えられる」。それはつまり、障害を持っている人が障害を持っているという理由によって、社会参加をする機会が制約される事がなく、障害を持たない人々と同等の権利をもって、社会のあらゆる分野や活動に参加する機会を与えられるといった基本的で当たり前の事を指している。
この理念を達成するために、2004年に行われた法改正によって、「何人も、障害者にたいして、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない(第3条第3項)」と「国民は、社会連帯の理念に基づき、障害者の人権が尊重され、障害者が差別される事なく、社会、経済、文化、その他あらゆる分野の活動に参加することが出来る社会の実現に寄与するよう努めなければならない(第6条第2項)」とが、新たな規定が追加をされた。
これらの基本理念には「人権の尊重」といった重視されるべき考え方に基盤をおいている。つまり、障害を持っている人も持っていない人も、人間としての尊厳に関して両者の間で差はなく、全ての人が個人としてかけがえのない存在として尊重されるといった事になるのだ。そして、障害者の人権を尊重していくことは国民全体の責務であるとも言っているのだ。しかし、こういった尊厳の理念が生まれるまでには、差別など、許されぬ扱いを受ける時期も存在した。この理念が生まれるまでには、下記のような流れを歩んできたのだ。
国連による障害者福祉の理念
近代社会に至る長い歴史のなかで、障害者は、障害を持っていない人と区別や差別をされ、障害を持っているというだけで、人権が無視されてきた。この期間は長く、今でもその名残があるほどだ。こうした状況に対し、国際的な変化をもたらしたのは、国連の『世界人権宣言』である。
1948年に国連総会で採択された『世界人権宣言』では、「全ての人は生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利について平等である(第1条)」とされ、障害者は正当な社会の構成員として、その権利を主張することができるとし、基本的な人権が必要不可欠なものであるとされたのだ。
この考え方はやがて、1971年の『知的障害者の権利宣言』や、1975年の『障害者の権利宣言』、さらに、1979年の『国際障害者年行動計画』へと次々と新しい宣言などへと引き継がれていったのだ。
つまりは、1971年に採択をされた『知的障害者の権利宣言』では、障害者のなかでも著しく権利の侵害を受けやすい知的障害者について、リハビリテーションなどの援助を受けることや、家族と共に地域社会で暮らし、虐待や差別等から保護をされる権利などについて宣言をしたのだ。
ノーマライゼーション
これは、障害の有無に関係なく同じ条件で生活を営むのが可能な社会へ改善していく、つまり障害者が人間としての尊厳を維持できる生活を保証することを目標としている。この考え方は1950年代後半、デンマークで起きた知的障害児に関しての運動がきっかけとなり広まった。そのため、当初は知的障害のみを指し
レポート、福祉学、障害者福祉、ノーマライゼーション、リハビリテーション
「障害者の理念について述べよ。」
障害者福祉の基本的理念
『障害者福祉法』の第1条には「障害者の自立と社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進し、障害者の福祉を増進すること」と、この法律の目的であると規定がならせている。
障害者福祉の基本的な理念は、障害者基本法第3条に以下のように規定がされている。「すべて障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有する」「すべて障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加をする機会が与えられる」。それはつまり、障害を持っている人が障害を持っているという理由によって、社会参加をする機会が制約される事がなく、障害を持たない人々と同等の権利をもって、社会のあらゆる分野や活動に参加する機会を与えられるといった基本的で当たり前の事を指している。
この理念を達成するために、2004年に行われた法改正によって、「何人も、障害者にたいして、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない(第3条第3項)」と「国民は、社会連帯の理念に基づき、障害者の人権が尊重...