【日大通信】2019~2022年度課題 漢文学Ⅰ 分冊2

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    韓非子は、韓の国の諸公子である。自分の祖国が、日に日に衰えていくのを嘆き、富国強兵策、官僚主義による専制君主制、そして彼独自の「刑名法術」等について、韓王に書を送り、いさめようとしたが受け入れらなかったため、楚に行き、旬氏に学んだ。その後、祖から韓に帰り、天下統一直前の秦に使い、自説を主張したが、李斯の謀略により死亡した。

    韓非子の著書である『韓非子』は五十五編からなる。中には後人による付け加え、紛れ込みもあるが、おおむね自著であると考えられている。「韓非子」の中で書かれている哲学思想の内容は、韓非子の冷酷な人柄をよく伝えるものでもある。
    政治理論とは、あるひとつの哲学体系において、「最終章」とされ、きわめて重要であると考えられる。哲学的思惟が、最終的に目指す実践論で、この実践論の終極が、政治理論において統合されると考えられるからである。韓非子の政治理論を中心に、韓非子について考えていきたい。

     韓非子の政治理論を簡単にまとめると、「法」「術」「勢」の三概念である。「法」とは、政治を行う上でのある一つの規準のこと、「術」とは、その具体的な方法・やり方のこと、「勢」とは政治的権力のこ...

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