体内動態を考える、もっとも基本的な4つのアイテムを伝授する講義資料→解説動画はこちら(`・ω・´) https://www.youtube.com/watch?v=xmgxhyBTpL4&t=1s
体内動態を考える基本アイテム2.F(バイオアベイラビリティー)の具体化
薬剤師国家試験 第105回176問、第103回173問 解説準備
~薬物の体内物語~
代謝物 未変化体
代謝物 未変化体
門脈
循環血中(体循環)
今回は勇者の薬物に光を当てて解説しよう
F(バイオアベイラビリティー)=生物学的利用能
薬として利用できる状態で体に入ってきた割合
ようするに、勇者の割合!
100㎎
40㎎
服用量=100mg
勇者 =40mg
F= =0.4(40%)
補題1 勇者=Dpo×Fと書けることを理解する
Dpo F
この薬物の F=0.6(60%)のとき、
勇者の薬物 は何mgか?
200mg×0.6=120mg
Dpo=200mg
うんち
代謝(消化管壁)
代謝(肝臓)
F = Fa×Fg×Fh
バイオアベイラビリティーは、
いくつもの戦いの合算である
うんち
代謝(消化管壁)
代謝(肝臓)
補題2 “F”をより細かく考えて勇者を求める
このとき、
勇者の薬物は
何mgか?
F=0.8×0.9×0.5
=0.36(36%)
よって勇者の薬物は
200mg×0.36
=72mg
72mg
Fa=消化管粘膜透過率=0.8
Fg=消化管粘膜で代謝を免れた率=0.9
Fh=肝臓で代謝を免れた率=0.5
Dpo=200mg
うんち
代謝(消化管壁)
代謝(肝臓)
おまけ 旅人の薬物は何mg?
72mg
Fa=0.8
Fg=0.9
Fh=0.5
Dpo=200mg
① 200mg×0.8×0.9 = 144mg
② 72mg:旅人 = 5:10 より
旅人=144mg
うんち
代謝(消化管壁)
代謝(肝臓)
FhとEhの関係
Fh(肝臓で代謝を免れた割合)
Eh(肝臓で代謝された割合)
合計で1(100%)
Fh+Eh=1
うんち
代謝(消化管壁)
CL肝(肝クリアランス)とEh(肝抽出率)の関係
Fh
Eh
Qh(肝血流量)⇒80L/hr
CL肝=Qh×Eh
代謝(肝臓)
CL肝
Qh
Eh
と F
Fh+Eh=1
F==Fa×Fg×Fh
でつながっている
経口投与の限界
経口投与は損をしている・・・だって、Fが1になるわけがないから
F=1(100%)の投与法はないの??
つまり、いきなり循環血中に薬を入れる方法はないの??
いきなり勇者になる方法はないの?
経口投与の損を回避したい
すべての薬が循環血中に入るわけではない → 無駄が多い
だからこそ初回通過効果をスルーできる投与方法が研究されてきた
→口腔粘膜、鼻粘膜、直腸(中部・下部)、肺、皮膚、注射
いきなり体循環投与法
実際に注射するのは
腕だけど、ようするに全部使える形で入れるとは、体循環にいきなり入れること
F=1の投与法
静注投与のF=1
Div(静注投与量)
経口投与と同じく
Div×Fと書けるが、
たまたま F=1
というだけのこと
勇者=D×F
静注 F=1
経口 F=1じゃない
D×F
“F”を調べる方法を考える
まず患者さんに薬を100mg飲んでもらいます
肝静脈から出る血液をすべて、別容器に移します
(時間はだいたい半減期×5倍くらい)
その血液中に、服用した薬物のうち未変化体で残っている量を調べます
例えば40mg残っていたとすると、F=0.4です、めでたしめでたし・・・
Fがわかるころには、患者様はおそらく亡くなっています(´・ω・`)
ここでAUCの出番ですよ!