障害者自立支援法に学ぶ
障害者自立支援法についてさまざまな文献、資料を調べてみたが、厚生労働省が出しているもの意外は、ほとんどのものが問題点を挙げていた。
法を出せば問題点が挙がってくるのは常であるが、こうも問題点ばかりをみると、どうしようもない法律だなと感じてしまう。実際はどうなのであろうか。政府は良くしようとして出したのであろう法律が、こうも非難を浴び、完全実施から約1年しかたっていない今日、すでに大規模な集会が日比谷で行われているのである。
なにがどう問題なのか、なぜ問題なのか。感じたことを述べたいと思う。
障害者自立支援法は実際は障害者の自立を「阻害」している法である。との声が上がっているらしい。「保護」から「自立」へ向けた支援を目標に国が利用者負担を見直し、応能負担から応益負担としたことに問題があるようで、それにより、従来は所得に応じた極めて低い負担だったのに対し、見直し後は介護保険制度同様、原則1割負担となったのである。障害者の実に77パーセントが障害者年金のみで生活しているという実態をふまえると無理があるのではないかと思う。もちろん、国も負担上限を定めている。二級年金者(平均6万6千円/月)で1万5千円/月、1級年金者(平均8万3千円/月)で2万4千6百円/月となっている。だが上限以上は負担しなくても無限に利用サービスが受けられるのかというとそうではなく、国の国庫補助基準額は一般障害者で25時間(6万9千370円)、視覚障害者などの移動介護利用者で50時間(10万7千620円)、重度性障害者で125時間(21万6千940円)となっている。もちろん、障害のレベルでもっと多く支援されることもあるが、ほとんどの人が一般障害者である。月25時間程度では、日に1時間分も支援されないことになる。超過分はもちろんすべて実費である。
ではどのように支援が決定されているのかというと、障害者各々が市町村に申請し、審査会による判定に基づいて障害判定区分を認定し、サービスの利用状況、介護者の有無や状態などを総合的に勘案して支給の合否を決定するのである。ここにおいて問題は障害程度区分の審査基準にある。同基準は介護保険制度の認定ソフトと酷似しており、身体障害に重きが置かれているのである。この為身体障害がある場合は障害の程度は比較的的確に判断されるが、身体障害の少ない知的・精神障害者の場合は障害が重度であっても、「自立している」とされ、サービス需給に差がうまれるのではないかとの声も上がっている。「自立している」ことが判定基準の中心になっていることは、やはり同法が障害者の自立支援を目的にした法律であり、より自立支援が必要と思われる者に支援をするという考えの元に判定しているからであろうが、その自立の基準がなぜ身体的障害のみに重きが置かれているのかということに疑問を抱いた。が、厚生労働省による改革のねらいをみるとその理由がわかった。法の立案に当たって、厚生労働省が一番に掲げたのが、「障害者サービスの一元化」である。「障害の種類(身体、知的、精神障害)にかかわらず、そのサービス提供主体を市町村に一元化し、障害の自立支援を目的とした共通の福祉サービスは共通の制度により提供する」というものである。つまり、自立支援の一元化のために共通の基準が必要だったわけである。憶測ではあるが、身体障害に重きが置かれているのは、身体障害者が大多数であるからであろう。障害の種類によってまったく異なる障害症状なのだから、一元化など、現実的に考えれば
障害者自立支援法に学ぶ
障害者自立支援法についてさまざまな文献、資料を調べてみたが、厚生労働省が出しているもの意外は、ほとんどのものが問題点を挙げていた。
法を出せば問題点が挙がってくるのは常であるが、こうも問題点ばかりをみると、どうしようもない法律だなと感じてしまう。実際はどうなのであろうか。政府は良くしようとして出したのであろう法律が、こうも非難を浴び、完全実施から約1年しかたっていない今日、すでに大規模な集会が日比谷で行われているのである。
なにがどう問題なのか、なぜ問題なのか。感じたことを述べたいと思う。
障害者自立支援法は実際は障害者の自立を「阻害」している法である。との声が上がっているらしい。「保護」から「自立」へ向けた支援を目標に国が利用者負担を見直し、応能負担から応益負担としたことに問題があるようで、それにより、従来は所得に応じた極めて低い負担だったのに対し、見直し後は介護保険制度同様、原則1割負担となったのである。障害者の実に77パーセントが障害者年金のみで生活しているという実態をふまえると無理があるのではないかと思う。...