「からくりとは何か?」
本来からくりとは江戸時代の庶民の目を楽しむものであった。つまりは一種の娯楽である。からくりの命とは見るもの、観客の意表をつく一瞬の変化である。そして、その影響力は絶大な物であり、その当時の文化という文化、文学作品や絵画や歌舞伎、あらゆるものがからくりと結びついた。お互いに需要、供給しており、当時の作品をみると同じテーマを題材にして表現方向が多岐にわたるものがたくさん現存している。また、一つのテーマが二重三重もの意味にも通ずると考えられている。「九想詩」といって人が死んだらどうなるのかといった人生永遠のテーマを解説したものも存在する。第一想では人の亡くなられたところを新思想として描き、続いて膨張想・血塗想・蓬乱想・ 食想・青痣想・白骨連想・骨散想・古墳想となっている。どのような美しい女性であっても、このような過程を経て、汚れた世界から別れて成仏していくのだ、という浄土真宗の考え方を表した作品も存在する。(美人変じて髑髏となる図)西洋美術でいうシュールリアリズムであろうか。
先ほどの具体例としては、竹田からくりの演目の一つである「六どう哥ねんぶつ」を挙げたいと思...