問題
「ゴルギアス」を精読し、本作から読み取れる範囲内で、以下の3点に応えてください。なお、応える際には課題を無視することなく、必ず「課題が要求する答え」をレポートにまとめてください。
①ソクラテスは、「弁論術は立派なものではなく、醜いものである」と主張していますが、彼はなぜそのように考えているのでしょうか。その理由をまとめてください。②カリクレスは、欲望は抑えてはならず、それを十分に満足させて快楽を得られる優れた人こそが幸福であると考えていますが、ソクラテスはその考えには反対しています。では、損の論拠はどのようなことなのでしょうか。③また、ソクラテス自身はどのような人が幸福であると考えているのでしょうか。以上の3点について論述してください。
講評
②の「快と善の区別の議論」にややつながりにくい点があるように思えますが、内容の理解・論述の仕方ともに一定載れべえると認め、合格とします。全体に主語述語の関係が不自然な分が散見されるのが気になりました。手術不自然を避けるコツは、まず複雑な構造の重文や複文を避け、なるべく短い文を使って文章を書くことです。書いているときは気づきにくいですが、読み直すと手術不自然な個所は読みにくかったり、意味が分かりにくかったりします。書きながら主語述語を確認しましょう。
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①ソクラテスが、弁論術を立派なものでは
なく醜いものであると考える理由、②カリク
レスの唱える幸福観の矛盾点に対するソクラ
テスの反論③ソクラテスの幸福観、の3つに
つ い て 述 べ る 。
①ソクラテスの考える弁論術の本性とは、
おべっか業における料理法と同様に技術によ
るものではなく、経験(なれ)によるもので
あり、経験によりある種のうれしさと快さを
作り出す。つまり、おべっか業の中の政治術
をまねた模像であると考える。弁論術が料理
法に相当するのは、自身が施す事柄の本質的
性格を自身が知らないため、視聴者に理論的
説明をすることができないからである。
ソクラテスが弁論術を醜いと考える理由は、
弁論家と他の職種の者が議論をする際に、議
論を視聴する者(子供や議題について無知で
ある者)に対し、何が最善であるかについて
少しも意味を話さずに、快いと思わせること
で、自身の考えを信じ込ませる(心を欺く)
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術である。そのため、本当のことを語る職人
の言い分が排除されるからである。また、弁
論術は、最善のものを差しおいて、ただ快い
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