『学習指導要領』第5節 音楽には、「音楽経験を通して、生活を明るくうるおいのあるものにする態度や習慣を育てる」という目標がかかげられている。音楽を通し、私が子どもたちに伝えたいことを、A:音楽の特性、B:音楽と生活をもとに述べる。
A:音楽の特性
音楽の特性について、3つにわけて述べる。
1 〈感覚的な直接性〉
「心から心へ伝わらんことを」というベートーヴェンの言葉があるが、芸術という分野の中で音楽の生み出す感動は、人間の最も本質的な部分にうったえる特性を持っている。また、無意識の状態であっても、音楽が持っている気分やニュアンスは心に直接的に響くものがある。音楽は、心に感じたものを率直に心に伝える精神的な表現活動の1つである。実際に、言語も発達していない原始時代から、感情表出の直接的な手段として使われていた。
2 〈時間的な運動性〉
音楽は、音の運動性、形式、拍子によって構成されている。
音を素材とし時間の進行とともに音楽は作られているが、たえず新しい印象を与え記憶の中で持続と展開をさせる手法が必要となる。また、楽譜によって視覚的に記憶された音の配列を機械的に鳴らすだけでは、...