介護保険制度成立の意義についての考察
介護保険制度成立の意義の考察に当たって、成立前のその他の福祉政策全般や社会情勢
の変化等様々な周辺背景も併せて考える必要があると思慮する。
社会情勢、経済的背景の変化としては1980年代より予見されていた少子高齢化、人口
減少型社会の到来。女性の社会進出に伴う非婚化・晩婚化・晩産化による核家族化の進行
により従前女性に委ねられていた介護や育児の私的ケアを望みにくくなる変化。また、1
990年のルーブル合意を引き金としたとみられる総量規制により、過剰な不動産投機に
より発展したとみられる所謂バブル経済の崩壊後から、経済低迷の脱却を目指した就労、
雇用の形態のドラスティックな変化により、今までの終身雇用、年功序列といった仕組み
の崩壊、企業の大胆なリストラの実行などにより派遣・請負などの非正規雇用の増大、そ
れに伴う不安定な被用者の増大といった道筋をたどって現在に至る。
上記のような社会情勢の中で、2つの政策重要な文書が出されている。
1994年3月の「21世紀福祉ビジョン−少子・高齢化社会に向けて」(21世紀福祉ビ
ジョン)、1995年「社会...