人文地理学(2)
〇アメリカ合衆国
アメリカには多様な自然が広がっている。また広大な大陸とともに、西岸海洋性気候、冷帯、温帯、亜熱帯、ツンドラ気候などさまざまな気候帯を持つという特色がある。
アメリカの農業は多様な自然環境と社会条件に適した作物を大規模に栽培する適地適作がとられ、商業的農業が高度に発達し、農業の地域分化が進んでいる。中西部にはとうもろこし地帯(コーンベルト)が広がり、世界最大の混合農業地帯となっている。この地域では飼料の栽培と家畜の肥育(フィードロッド)が分離する傾向にある。ケベック南部とニューイングランドから五大湖周辺は酪農地帯になっており、園芸農業が点在している。南部では綿花地帯(コットンベルト)が広がり、経営の多角化が進んでいる。グレートプレーンズでは、中央部に冬小麦地帯、北部に春小麦地帯が形成されている。グレートプレーンズから山岳地帯では企業的牧畜が発達している。地中海性気候の太平洋側では大規模な灌漑施設による酪農・園芸農業・稲作などが発達している。
しかし今日では過剰生産と土壌浸食が問題となっている。また各農業地域の変化とともに農業経営も変化し、家族経営主体の兼業化や離農により、企業的な巨大農場へと土地の集中が進み、農業関連企業(アグリビジネス)と結びつく農場が増えている。またわたし個人としてはアメリカに食糧を頼りすぎていると思う。いざアメリカの穀物に何か問題が発生した場合困難に陥ると思う。
〇西ヨーロッパ
ヨーロッパでは温帯気候が主に広がっており、なかでも地中海沿岸では地中海式気候が広がっている。地中海性気候では夏季は高温乾燥であり雨は主に冬に降る。
ヨーロッパでは北西ヨーロッパの混合農業と、南ヨーロッパの地中海式農業が広がっている。混合農業は、穀物栽培と畜産部門の組み合わせを基本とし、イギリス南東部、北フランス、北イタリアなどで、大型機械を使った小麦などの穀物の単一栽培が行われ、収益性の高い農業が営まれている。北海に面したオランダやデンマークでは集約的な酪農が発達しており、最新の技術を導入した農業がおこなわれ、乳製品や肉製品の輸出をのばしている。地中海式農業は、特有の気候にあわせ、穀物、樹木(オリーブ・コルクがし・ぶどう・いちじくなど)の栽培および山羊、羊の移牧を組み合わせた農業である。移牧は夏は乾燥がきびしく牧草が発育しない低地の場合には、より気温が低く蒸発の少ない山地へ移動し、冬は山麓の村で舎飼いするという独特の牧畜形態をとる。
しかし牧畜を進めた結果、牧草地を広げるために、森林を伐採したために、森林破壊が進み、土壌の流出がおき、洪水、出水をまねいている。また降水量の少ない地中海気候も加わって、森林再生が不可能となっている。今森林破壊は世界レベルで叫ばれている。このヨーロッパでの出来事はわたしたちにとって将来起こりうる事態としてよい教訓になるだろう。
〇中国
中国の長い歴史の中で、農業は非常に重要な地位を占めてきた。中国では人口の八割の九億人が農村に居住しており、中国社会の基盤となっている。
中国の農業地域は三つに大別できる。万里の長城以北を東北地方、長城以南のチンリン(秦嶺)・准河を境とする北を華北地方、および南の華中・華南地方の三つの地域である。降水量の少ない華北・東北地方では小麦、大豆、こうりゃんなどを栽培し、畑作中心である。降水量の多い華中・華南では稲作が大部分を占めている。現在では華北・東北地方でも水稲が栽培されるようになった。華中・華南では水稲のほかに、サツマイモ、茶、養魚などが営まれ
人文地理学(2)
〇アメリカ合衆国
アメリカには多様な自然が広がっている。また広大な大陸とともに、西岸海洋性気候、冷帯、温帯、亜熱帯、ツンドラ気候などさまざまな気候帯を持つという特色がある。
アメリカの農業は多様な自然環境と社会条件に適した作物を大規模に栽培する適地適作がとられ、商業的農業が高度に発達し、農業の地域分化が進んでいる。中西部にはとうもろこし地帯(コーンベルト)が広がり、世界最大の混合農業地帯となっている。この地域では飼料の栽培と家畜の肥育(フィードロッド)が分離する傾向にある。ケベック南部とニューイングランドから五大湖周辺は酪農地帯になっており、園芸農業が点在している。南部では綿花地帯(コットンベルト)が広がり、経営の多角化が進んでいる。グレートプレーンズでは、中央部に冬小麦地帯、北部に春小麦地帯が形成されている。グレートプレーンズから山岳地帯では企業的牧畜が発達している。地中海性気候の太平洋側では大規模な灌漑施設による酪農・園芸農業・稲作などが発達している。
しかし今日では過剰生産と土壌浸食が問題となっている。また各農業地域の変化とともに農業経営も変化し、家族経営...