日本大学の平成28-29年度国文学概論の科目修得試験です。平成30年度、こちらから出題され、S評価をいただきました。参考になれば幸いです。
国文学概論(1時限)
『28 年度』・仏教説話文学の性格とその特徴について説明しなさい。
仏教説話文学は奇異譚であり、仏教の偉大な神秘性を鼓吹する材料を取り扱
っている。はじまりは平安初期に沙門景戒により書かれた『日本霊異記』とさ
れており、善悪の状や、因果応報を示し、善道を修めるべしとする霊異記の性
格を引き継いでいる。そのため、人間本来の素朴な若々しさは描かれておらず、
仏教的教義の普及書となっている。また、教訓的・勧懲的な内容となっており、
後の説話集に一つの話型を与えている。ただし、民間説話から素材を取ってい
るため、伝奇的な面を見ることができる。
平安末期の『今昔物語集』は、説話集を説話文学として日本文学界において
認めさせた作品である。これが成立する前の平安中期頃から藤原氏を頂点とす
る貴族権力の衰退傾向に伴い、下級官僚の進出、地方武人勢力の台頭が目立ち
はじめ、また中央・地方間の往来が多くなってくる。こういう状勢をうけて、
都人たちの間に人間のもつさまざまな個性や能力・欲望に対する興味・関心が
強まり、それらにかかわる世俗説話が仏教説話とともに『今昔物語集』の中に
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