議院自律権とは、各議員が内閣や裁判所など他の国家機関や他の議院からの監督や干渉を受けることなく、その内部組織および運営などに関し自主的に決定できる権能をいう。議院自律権と呼べるもので、特に重要なものを次のように分類して、考察していく。
1つ目は、内部組織に関する自律権、2つ目は、運営に関する自律権である。前者には会期前に逮捕された議員の釈放請求権(50条)、議員の資格争訟の裁判権(55条)、役員選任権(58条1項)である。後者が、議院規則制定権並びに議員懲罰権(58条2項)である。
さらに、国会議員が国政に関する十分な知識、正確な知識を獲得する必要性から認められる国政調査権(62条)がある。
ではまず、内部組織に関する自律権である50条だが、これは逮捕・拘禁により議員が審議に参加できないという事態を防ぐ目的で認められた権能である。つまり、これにより会期前に逮捕されていた議員の釈放を議院は要求できるわけである。
55条は、各議院がそれぞれの議員の資格に関する争いについて裁判することができる、というものである。法律上の争いは原則として裁判所が取り扱うことになるが、これはその例外な...