高齢者を取り巻く環境の変化について整理し、今後の高齢者福祉における課題について述べなさい。
近年、我が国の高齢者を取り巻く環境は大きく変容した。我が国の高齢化の状況をみると1950年以前の老年人口比率は低率で推移してきたが、1970年に7%を超えて高齢化社会の仲間入りをし、2013年の推計では25.0%と超高齢社会を迎えている。その後も増加の一途をたどり、2050年の時点で38.8%という高率となることが推計されるなど、短期間のうちに極めて高度な高齢化率が進行しており、状況に対応するため社会的・経済的システムを急速に整備していかなければならず、極めて大きな問題となっている。
一方、近年は延命を重視した医療からウェルビーイングを重視した医療への転換に伴い高齢者の幸福感や生活満足度を環境的な要素も含めた多様な要因の相互作用としてとらえる生活の質を重視する考えが広がるなど、生活や意識にも変化が生まれている。
また、近年における一人暮らし高齢者が急増しており、特に男性高齢者の占める割合が増加しており、当該高齢者に何らかの養護・介護の必要性が生じた場合、社会的サービスの利用に結び付く可能性が高い状況である。
このような中、当初は経済的困窮に対する支援からスタートした高齢者保健福祉...