評価Cレポートです。
哲学1
「ソクラテス的論駁」と呼ばれる論法を実例とともに説明し、その上で、その問題点を述べなさい。
ソクラテス(紀元前469年―紀元前399年)
プラトン初期対話篇において描かれるソクラテスにとって、哲学とは、正義や敬虔、勇気、節制など総じて「徳」について論じ合い、探求することであった。具体的には自らが相手に問いかけ、問答を繰り返す「問答法(ディアレクティケー)」という方法が用いられるが、特に対話相手の信念系の矛盾を論理的に突き、いわば自己矛盾の「行き詰まり(アポリアー)」へと陥らせる方法のことを「ソクラテス的論駁法(エレンコス)」という。
ソクラテス的論駁法の理論構造は、以下のようなものである。
対話相手が命題Pを主張する。Pは、ソクラテスが討論の主題として選んだ倫理的なテーマに関するAの主張である。ソクラテスはPを疑わしい主張とみなし、検討の主題として論駁の標的にする。
対話が成立するためには、対話者同士の間に何らかの合意が成立しなければならない。ソクラテスは対話者に命題Q、Rを提示し、これらを承認するかを問い、承認を得る。
「命題の結合体Q,Rは、非Pを導出する」と...