中央大学通信教育2018年度 評価はBになります。
1
第3課題
⑴
1,条約の不履行による損害賠償責任
A国とB国は,77年条約により,それぞれ水門を建設する義務を定め,当該計画の変
更は合意によるものとされている。したがって,B国が合意に基づかずに同条約上の工事
実施義務を放棄することは,同条約の不履行を意味し,国際法上の違法行為を構成する。
したがって,B国は同条約の不履行によって生じたA国の損害を賠償する責任を負うのが
原則である。
2,違法性阻却事由
しかし,B国が工事実施義務を放棄したのは,b地域の環境への重大な悪影響への懸念
が高まったからであり,B国はA国に対して同条約の修正提案も行っていた。このような
場合でも常にB国は条約の不履行による責任を負担しなければならないか。
外形上違法な行為とみられる場合でも,一定の事由が存在するときは,その違法性がな
いものとされることがあり,そのような事由を違法性阻却事由という。国際法上も,違法
性を阻却する一定の事由が認められており,国家責任条文において定められている。違法
性阻却事由としては,①同意(同20条 ), ②自衛(同21条 ), ③(国際違法行為に対
する)...