貧困概念の拡大を踏まえつつ、現代社会における公的扶助(生活保護)の役割についての内容
貧困概念の拡大を踏まえつつ、現代社会における公的扶助(生活保護)の役割について述べなさい。
貧困の概念は、一般的には日常生活していくうえ経済的理由などから必要最低限の暮らしができない状態捉えるが、時代や社会背景によって変化し貧困の捉え方も変遷している。貧困状態を大まかに分類すると、絶対的貧困、相対的はく奪としての貧困、社会的排除としての貧困、ケイパビリティの欠如としての貧困に分けられる。
絶対的貧困とは、19世紀末にイギリスで行われた貧困調査をもとに社会問題としてとらえられた貧困である。人間が生きるのに必要な最低限の肉体的能率を満たす生活水準以下の層や個人の貧困である。生きていくために必要な食物などの絶対量から求めた基準である。相対的はく奪としての貧困とは、第2次世界大戦後に先進諸国では経済が繁栄する中で、一般的な家庭の習慣や平均的な生活レベルよりも著しく低い層や個人の貧困であり、豊かな社会のかげに隠れた貧困である。社会的排除としての貧困とは、近年の経済が発展してきた中で顕在化してきた問題で、例えば、薬物・アルコール依存症、シングル・マザー、ホームレス、障害者、高齢者などにより、社会...