上流階級
ヴィクトリア朝期の王族を別にすれば、上流階級は2つに大別できる。貴族とジェントリ(無爵位土地所有者)がそれである。貴族は上から順に公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵という5つの爵位に分かれており、1万エーカー以上の土地を所有しているのが普通である。1エーカーは約4千平方mなので、これは大体40平方?になり、ほぼ東京都の大田区や練馬区の広さに当たる。ちなみに東京都の23区は大体7百平方?である。一方、ジェントリの方は3千エーカーを目安に二分することができる。最低の所領しか持たない小地主でも千エーカーの土地は所有していた。
ヴィクトリア時代の地代はその後半で大体1エーカーあたり1ポンドと見積もられているから、貴族の年収はおよそ1万ポンド、平均的なジェントリの年収が3千ポンドまたは最低でも千ポンドの収入があった。収入の一部が投資活動につぎ込まれるということはあったが、所領と投資からあがる定期収入は地代にしても利子にしてもいずれも労働の報酬ではなかった。したがって上流階級は生活のために働く必要のない人々だったのである。
有り余る不労所得を裏付けにして、彼らは国会議員や地方の治安判事職に就いた。19世紀にはこれらの職務にはまだ歳費は支給されておらず、そのため誰もが気軽に役職を全うするということはできない事情にあったが、かといってこれらの名誉職が彼らの生活の全てではなかった。それどころか、レジャー・クラスといわれたこの階層の日常は、すなわちその名にふさわしく大型レジャーに彩られていたのである。
働く必要がないのは女性においても同じことだった。複数の召使いに家事労働を分担させ、自分たちは白手袋をつけて1日を過ごす。これが有閑階級の婦人の典型だった。未婚の女性も嫁ぐ日までは父に従い、結婚後は夫に従うことが当然のことで、外で働くなどということは思いもよらないことであった。
ヴィクトリア朝について
身分・職業・収入
上流階級
ヴィクトリア朝期の王族を別にすれば、上流階級は2つに大別できる。貴族とジェントリ(無爵位土地所有者)がそれである。貴族は上から順に公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵という5つの爵位に分かれており、1万エーカー以上の土地を所有しているのが普通である。1エーカーは約4千平方mなので、これは大体40平方㎞になり、ほぼ東京都の大田区や練馬区の広さに当たる。ちなみに東京都の23区は大体7百平方㎞である。一方、ジェントリの方は3千エーカーを目安に二分することができる。最低の所領しか持たない小地主でも千エーカーの土地は所有していた。
ヴィクトリア時代の地代はその後半で大体1エーカーあたり1ポンドと見積もられているから、貴族の年収はおよそ1万ポンド、平均的なジェントリの年収が3千ポンドまたは最低でも千ポンドの収入があった。収入の一部が投資活動につぎ込まれるということはあったが、所領と投資からあがる定期収入は地代にしても利子にしてもいずれも労働の報酬ではなかった。したがって上流階級は生活のために働く必要のない人々だったのである。
有り余る不労所得を裏付けに...