日本文学における「漢文」の特徴を概説せよ。
「漢文」の特徴について考えるにあたり、はじめに辞典類や学習指導要領での定義を参考にする。まず、『広辞苑』では、「①中国古来の文章・文学。現代中国語に対していう。②日本で、1にならって書いた、漢字だけの文章。変体漢文を含んでもいう。」と定義されている。次に、『国語学大辞典』では、「中国で漢文というと、やや古い時代では『漢代の文章』をさし、現代では『漢語つまり漢民族の言語の文章』をさす。いずれにしても、中国における正統的な文語体の文章を意味し、口語体の文章つまり『白話文』『語体文』と区別して『文・文章・古文・国文・文言文』などとも呼ばれる。」と定義されている。最後に、学習指導要領では、「古典A」の目標の項に「古典としての古文と漢文、古典に関連する文章を読むことによって、(後略)」とある。ここで述べられている「古典としての漢文」とは、学習指導要領によると「我が国の古典として享受されてきた漢文を指し、日本人がつくった漢文すなわち日本漢文も含」む。
以上をふまえた上で、日本文学における「漢文」の特徴を概説する。
「漢文」で使用されている漢字とは本来中...