経済人類学

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    採集狩猟という活動は、人間が人為的に何かを生産する行動ではなく、自然が作り出してくれたものをほんの少しだけ利用させてもらうシステムである。他の動物たちも人間と本質的にはなんら変わりのない「採集狩猟」を行って生きている。私たち人類は猿人段階から数え、少なくとも200万年もの間この採集狩猟を行い生きてきた。現在多く行われている農業や、牧畜が現れたのは約1万年前のことといわれている。
     このレポートでは、牧畜民や農耕民との比較を踏まえ、採集狩猟民たちの経済生活の特徴を述べる。今回、採集狩猟民はカラハリ砂漠に住むサン族(ブッシュマン)を用いることとする。
    サン族の社会の特徴として挙げられるのは移動性が高く、低人口密度・小規模社会である。居住集団のメンバーシップはたいへん流動的で集団を構成する家族は離合集散を繰り返すものであり、土地の利用形態も開放的である。採集狩猟においては、人間のほうが季節ごとの産物を求めて移動しつづけなければならず、一ヶ所に定住することは不可能である。また、単位面積あたりの土地生産力は農業などに比べて格段に低いので、人口密度は低く、社会も小規模にならざるを得ない。さらに、こ...

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