都市設計レポート課題
世田谷区風景づくり条例
世田谷区玉川地域
0.地域の現況
玉川地域は、世田谷区の東南部に位置し、東京都側では目黒区と大田区、多摩川を挟んだ神奈川県側では川崎市と、それぞれ接している。面積は約1.580haであり、区内5地域の中で最も広くなっている。玉川地域の最大の魅力として、多摩川の水際、国分寺崖線の緑および台地上の谷沢川、呑川がつくり出す緩やかな傾斜地といった、自然が市街地に与えた恩恵がある。それらは水際の活用、崖線の緑がなす街並みの景観、緩やかな坂(自然の起伏)のあるまちなど、街づくりに対して明確なテーマを与える条件となっている。このように、当地域は、都市部に残された貴重な自然環境として高く評価される一方、都市近郊の利便性の高い立地にあるため、近年、市街化圧力も大きく、マンション等の建設が盛んで、年々崖線周辺の樹林地の減少が顕著になってきている。
1.規制の目的と手法
こうしたなか、東京都では、恵まれた地域の自然環境•広域景観を保全するため、1997年に東京都景観条例を制定し、東京の景観づくりを総合的に進めてきた。その中で、崖線及び崖線と一体となって景観を創り出している地域を『緑の景観遺産』として『国分寺崖線景観基本軸』に指定し、景観基本軸のなかで行われる一定規模以上の建築物の建築や土地の開発などに対して、『景観づくり基準』を定め、規制している。
世田谷区においても、『世田谷区風景づくり条例』が制定された。それによると、「この条例は、風景づくりに関して必要な事項を定めることにより、風景づくりを総合的かつ計画的に進め、もって区民1人1人が愛着と誇りを持てるような魅力あるまちの形成を図ることを目的とする」とあり、第12条「地域風景資産の選定」第18条「界わい宣言の登録」第24条「界わい形成地区の指定」第27条「風景軸の指定」また、これら規則で定める風景づくりに大きな影響を与えるものとされる「特定の建設行為等の届け出」を第32条で定めている。
主に、「界わい宣言」「地域風景資産の選定」が区民の主体的取り組みによって進められる風景づくり、「風景軸の指定」「界わい形成地区の指定」「公共施設整備における先導的役割」を区が先導して計画的に進める骨格的風景づくり、「地域風景資産の登録」「特定の建設行為の誘導」「風景づくり活動の支援」が区民と事業者および区との恊働によって進められる風景づくりとなっている。これら3つの主体を連帯させて、各々が自然や歴史的•文化的遺産の継承、新たな都市風景の形成を確認しながら風景づくりを進めていこうというのが、世田谷区風景づくりの目的と手法である。
2.開発行為のシミュレート
所在地 世田谷区野毛2丁目297 敷地面積 1,070.48㎡ 用途 レンタルショップ•カフェ 構造•規模 鉄筋コンクリート造 地上4階建て 都市計画 市街化区域 用途地域 第1種中高層住居専用地域 地域地区 準防火地域•第1種高度地区•第2種風致地区 指定建蔽率•容積率 45%(緩和措置による)•200%
上記の敷地を選択した(吹出しの位置)。当該敷地は「地域風景資産の指定」「風景軸の指定」の管轄内であり、世田谷区風景づくり条例の規制を十分に受けると考えられる。その他規制としては、第1種高度地区内で適用される日影規制は、前面道路と敷地が南向きで接し、敷地北向きに十分なスペースがあるため日影(斜線)規制は考えないものとし、第2種風致地区内で適用される東京都風致地区条例が、建蔽率40%、絶対高さ15m以下、壁
都市設計レポート課題
世田谷区風景づくり条例
世田谷区玉川地域
0.地域の現況
玉川地域は、世田谷区の東南部に位置し、東京都側では目黒区と大田区、多摩川を挟んだ神奈川県側では川崎市と、それぞれ接している。面積は約1.580haであり、区内5地域の中で最も広くなっている。玉川地域の最大の魅力として、多摩川の水際、国分寺崖線の緑および台地上の谷沢川、呑川がつくり出す緩やかな傾斜地といった、自然が市街地に与えた恩恵がある。それらは水際の活用、崖線の緑がなす街並みの景観、緩やかな坂(自然の起伏)のあるまちなど、街づくりに対して明確なテーマを与える条件となっている。このように、当地域は、都市部に残された貴重な自然環境として高く評価される一方、都市近郊の利便性の高い立地にあるため、近年、市街化圧力も大きく、マンション等の建設が盛んで、年々崖線周辺の樹林地の減少が顕著になってきている。
1.規制の目的と手法
こうしたなか、東京都では、恵まれた地域の自然環境•広域景観を保全するため、1997年に東京都景観条例を制定し、東京の景観づくりを総合的に進めてきた。その中で、崖線及び崖線...