古代文学 小課題
『古事記』中の『国生み』における島々の名づけに関する考察
『古事記』中の『国生み』における島々の名づけに関する考察
1.はじめに
『古事記』は、稗田阿礼が暗唱する話を太安万侶が書きとめられたとされている、我が国最古の歴史書である。本論では、上巻で語られる『国生み』で伊邪那岐命と伊邪那美命間に誕生する十四の島に付けられた名前について三つの仮説を立て、考察する。
2.「性行為が神聖なものであると言うための理由作り」説
そもそも『古事記』の最初に登場する神である、「天之御中主神」「高御産巣日神」「神産巣日神」には性別はなかった。しかし、その後に登場する「宇比地邇神」「妹須比智邇神」「角杙神」「妹活杙神」「意富斗能地神」「妹大斗乃辨神」「於母蛇流神」「妹阿夜詞志古泥神」「伊邪那岐神」「伊邪那美神」にはそれぞれ性別の設定がある。特に「伊邪那岐神」と「伊邪那美神」は天つ神の命を持ってドロドロであった日本を「修理り固め成す」ために天の浮橋から矛を使ってオノゴロ島を作り、そこで日本を形成する島々を性交によって作ろうとするのである。
本来ならば、この二人(二柱)は「神」であるのだ...