福祉改革の歴史的位置と性格
第1節 福祉改革の歴史的位置
1、国際社会の動向と福祉改革問題
60年代中ごろから70年代中ごろの時期、先進資本主義諸国は高度な経済成長の恩恵を享受し、社会保障、社会福祉の改善をみた。しかし、オイルショック以降の経済不況によって、福祉国家批判を機軸とし政策転換をせまられた。だが、この政策転換に対して国民の反発が起こらなかった。その理由は、60年代において国民のすべてが高度経済成長の受益者として体制内化されており、中間層として存在していたからである。かれらは、中産階級的、道徳主義的価値の尊守を要求する姿勢を強め、貧困低所得層に対する批判を強めた。よって、新保守主義的思想を下支えしたのは、こうした保守化した中間層に他ならなかった。
2、戦後社会福祉の展開と福祉改革
わが国における福祉改革の特徴は、第二次臨時行政調査会の答申を論拠に外在的に与えられたが、ほどなく、内在化され、自己改革の好機として捉えなおされた。古川の分類における第Ⅰ期(1945~1959)においては、生活保護法を中心とした生活保障システムが国民皆保険会年金体制をもって社会保険を中心とする恒久...