ラジカル置換反応

閲覧数11,633
ダウンロード数12
履歴確認

    • ページ数 : 6ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    ラジカル置換反応
    <1.緒言>
    本実験の目的は、ラジカル置換反応により p-トルイル酸からα-ブロモ-p-トルイル酸を合
    成し、さらにトリフェニルホスフィンを反応させることで、p-カルボキシベンジルトリフェ
    ニルホスフィンブロマイド(以下ホスホニウム塩と略)を合成することである。
    融点測定や IR、NMR の測定を行い、目的の物質が得られたのかを確認し、収量を求め
    ることにより反応の進行度などについて考察していく。
    p-トルイル酸は、ラジカル開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)と溶媒で
    あるヘキサンの存在下で N-ブロモスクシンイミド(NBS)と反応させると、ラジカル置
    換反応によりα-ブロモ-p-トルイル酸を与える。
    C H3
    COOH
    BrH2C
    COOH
    NBS
    反応機構に関しては、まず AIBN がラジカル開始剤として働き、NBSと反応してブロモ
    ラジカルを生じる。生じたブロモラジカルが p-トルイル酸を攻撃し、ラジカル中間体を経
    て臭素と反応することにより最終生成物ができる。なお、共に生じたブロモラジカルは再
    利用される。また、臭素に関しては NBSが発生源となって生じている。
    (反応機構)
    N2 NC NC N N CN 2 +
    AIBN

    N Br
    O
    O
    NC Br NC N
    O
    O
    +
    NBS

    HOOC
    C H
    H
    H
    HOOC
    C
    H
    H
    HOOC
    C
    H
    H
    Br
    Br Br
    Br
    2 +
    臭素の発生
    N Br
    O
    O
    Br
    2 N H
    O
    O
    Br H
    NBS
    + +
    2 段階目の反応であるホスホニウム塩の合成については、トリフェニルホスフィンが炭素
    を攻撃して SN2 置換反応を起こすことにより生じる。
    Br
    COOH
    PPh3
    PPh3+Br-
    COOH
    (反応機構)
    CH
    2
    COOH
    Br
    Ph3P:
    COOH
    CH
    2 PhP+
    Br +
    <2.試料・試薬の物性>
    物質名 化学式 M (g/mol) mp(℃) bp(℃) d(g/cm3) 性質・形状など
    p-トルイル酸 C8H 8O2 136.2 182 274 -
    NBS C4H4BrNO2 177.9 175 - 2.098 白色固体、水に難溶
    AIBN C8H12N4 164.21 105 - 1.05 白色結晶、水に不溶
    シクロヘキサン C6H12 84.16 6.47 80.74 0.779 揮発性、水に不溶
    アセトン C3H6O 58.08 -94.8 56.3 0.791 揮発性、引火性
    無水塩化 Ca CaCl2 110.9 772 - 2.15 乾燥剤
    トリフェニルホスフィン Ph3P 262.29 80 377 1.1 無色結晶
    <3.実験操作と結果>
    (Ⅰ)α-ブロモ-p-トルイル酸の合成
    三口フラスコ(100 ml)、玉入り冷却管、塩化カルシウム管で還流装置を組み、三口フラ
    スコに p-トルイル酸 3.0 g(22 mmol)、NBS 4.5g(25mmol)、ヘキサン 40 ml を入れて撹拌
    を開始した。AIBN 0.3 g(1.8 mmol)を入れると白濁液となり、その溶液を 90 ℃の水浴で 1
    時間還流した。30 分経過した時点で、酢酸エチルを展
    開溶媒として TLC チェック(右図)を行った。
    各スポット①~③の Rf 値(移動率)は以下のように
    なった。
    ①Rf値 = 0.10 ②Rf値 = 0.69 ③Rf値 = 0.90
    各スポットについてだが、②の

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    ラジカル置換反応
    <1.緒言>
    本実験の目的は、ラジカル置換反応により p-トルイル酸からα-ブロモ-p-トルイル酸を合
    成し、さらにトリフェニルホスフィンを反応させることで、p-カルボキシベンジルトリフェ
    ニルホスフィンブロマイド(以下ホスホニウム塩と略)を合成することである。
    融点測定や IR、NMR の測定を行い、目的の物質が得られたのかを確認し、収量を求め
    ることにより反応の進行度などについて考察していく。
    p-トルイル酸は、ラジカル開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)と溶媒で
    あるヘキサンの存在下で N-ブロモスクシンイミド(NBS)と反応させると、ラジカル置
    換反応によりα-ブロモ-p-トルイル酸を与える。
    C H3
    COOH
    BrH2C
    COOH
    NBS
    反応機構に関しては、まず AIBN がラジカル開始剤として働き、NBSと反応してブロモ
    ラジカルを生じる。生じたブロモラジカルが p-トルイル酸を攻撃し、ラジカル中間体を経
    て臭素と反応することにより最終生成物ができる。なお、共に生じたブロモラジカルは再
    利用される。また、臭素に関しては NBSが...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。