総合教育科目「日本国憲法」通信授業試験対策
2020年度の学習指導書確認済(2020.4.3に確認)
○現代憲法における基本的人権の特徴を近代憲法と比較
○日本国憲法の象徴天皇制について
○最高裁判所が「憲法の番人」であること
○基本的人権の「公共の福祉」による制約
○国会と内閣との関係
○現代憲法における基本的人権の特徴を近代憲法と比較
基本的人権は、近代憲法では、自由権的基本権に重点が置かれ、国家の役割は、国民の自由を確保することにあった。
これに対し、現代憲法における基本的人権の保障では、生存権的基本権(社会権)の比重が増大している。これには、資本主義によって生じた問題を解決するために、国家が最低限の生活を保障する社会権を盛り込むようになった背景がある。
このように、自由国家から福祉国家へ国家観が変容している。
○日本国憲法の象徴天皇制について
1条.規定 2条.世襲 7.3条.職務 4条.国政の権能なし
天皇は、日本国と日本国民統合の象徴であり、その地位は、主権者たる日本国民の総意に基づくものである。(第1条)
また、皇位は、国会の議決する皇室典範に基づき、世襲によって継承される。(第2条)。
天皇の職務は、国事行為を行い(第7条)、内閣の助言と承認を必要とし、その責は、内閣が負う。(第3条)
国政に関する権能を全く有さない(第4条)。
以上のことから現行憲法では、天皇に内閣総理大臣が行使する行政上の権限がない点で帝国憲法と異なる。これらの解釈から「象徴天皇制」という。
○最高裁判所が「憲法の番人」であること
最高裁判所は、法律や行政処分が憲法に適合するかしないかを最終的に決定する権限を有する。憲法第81条では、違憲法令審査制度を定めてあり、憲法に反する法令を排除し、憲法を最高法規とする法秩序を維持するための憲法保障制度である。この規定は、日本国憲法の中でも最も重要な規定の一つであり、最高裁判所が憲法の番人と言われる所以である。憲法の番人ということは、憲法で保障された人権の番人であることとイコールであるから、最高裁は、多数派が支配する民主的政治過程からこぼれ落ちた少数派にとって人権救済の最後の砦である。
○基本的人権の「公共の福祉」による制約
人権と人権の衝突を調整するための実質的公平の原理が公共の福祉である。
審査基準は、現在のところ比較衡量論と二つの基準論がある。
比較衡量論とは、人権を制約することによってもたらされる利益と、人権を制約しないことによって維持される利益とを比較して、どちらの利益が大きいかを比べる考え方である。この考え方は、多数の利益を優先し、少数の利益を軽視してしまう欠点がある。
一方で、二つの基準論は、精神的自由権を制約する場合と、経済的自由権を制約する場合とで裁判所の審査基準を変える考え方である。精神的自由権では、厳格な審査基準を用い、経済的自由権では、緩やかな審査基準を用いる。
○国会と内閣との関係
国会が決めた予算や法律に基づいて、実際に国の政治を行うことを行政というが、内閣は、この仕事を担っている。
内閣は内閣総理大臣と国務大臣で組織する(日本国憲法第66条)
内閣総理大臣は国会議員であること(日本国憲法第67条)
国務大臣の過半数は国会議員であること(日本国憲法第68条)
このように、内閣と国会は密接な関係にあり、これを議院内閣制という。
森口佳樹著他(2015)『ワンステップ憲法』嵯峨野書院
山下友信著者代表(2015)『ポケット六法』有斐閣
金子宏・新堂幸司・平井宣雄編集代表(2008)『法律学小辞典第4版補訂版』有斐閣