第一設題:ソクラテスの教育観に注意して彼の教育学的意義について述べよ
ソクラテスはギリシャのポリス(都市国家)のアテナイのアバロケ地区で生まれ、若い頃は自然研究に没頭したが、40歳の頃から自然研究をやめて、人間の探求への研究に情熱を注いだ。
ソクラテスの教育観を考察するにあたり、ソクラテスと同時代にアテナイの街で活躍していたソフィストたちについてまず論じたい。ソフィストとは、青年たちにあらゆる知識や弁論術を教えていた職業教師たちのことである。ソクラテスはこのソフィストが唱える論を批判した。ソフィストの主張で特に有名なものは、プロタゴラスの「あらゆるものの尺度は人間だ。あるものについては、あるということの、あらぬものについては、あらぬということの」という考えがある。この考えは、すべてのことは人間の価値観、判断、感情によって決まるという論であり、価値相対主義的論理観を肯定するものである。つまり、すべての人に通用する真理は存在せず、個人の考えによって善悪の基準が異なる、というものである。「個々の人の考えがそれに従わなければならないような不変の実在とか宗教とか道徳とか絶対的な基準は存在しない...