中央大学 通信教育部 2018年・2019年 倒産処理法 第3課題

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    中央大学通信教育2018年度
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    第3課題

    1,否認権

    ⑴否認権の意義

    債務者の経済状況が悪化すると,債権者は様々な手段を用いて債権の回収を図ろうとす

    るし,債務者は当面の資金繰りを画策することになる。その結果,ある特定の債権者に対し

    てのみ債務が弁済される,弁済資金・運転資金を確保するために財産が廉価で売却されると

    いったことが生じる。これでは,債権者に平等な満足を保障することはできないし,配当原

    資たる破産財団が減少し,破産債権者の利益を害することになる。そこで,破産管財人には

    否認権が認められており,破産手続開始前の破産者の行為の効力を否定することができる。

    ⑵無償行為の否認(無償否認)

    「無償行為及びそれと同視すべき有償行為」は,破産者の責任財産を減少させる行為であ

    り,破産法(以下「法」という。)160条3項で否認権の対象とされている。無償行為は,

    破産者の責任財産を減少させる程度(詐害性)が強く,破産債権者に対する害が大きい。ま

    た,無償行為の受益者は当該行為によって経済的な負担をしていないことから,否認を広く

    認めても公平に反しない。これらの理由より,無償行為は,...

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