老年者の家族における役割

閲覧数5,867
ダウンロード数5
履歴確認

    • ページ数 : 3ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    はじめに
     わが国では生活水準の向上による平均寿命の大幅な伸びにより、高齢化が急速に進んでいる。1970年に高齢者化社会になり1994年に高齢社会に突入した。このままいくと2015年には4人に一人が高齢者という時代を迎えることになる。
     それに伴い高齢者問題がいくつかは発生する中で、高齢者の家族生活問題がある。老年者の家族における役割はどのようなものがあるか、老年者の受容性はどのようにあるのだろうかなどを理解することでこれから差し迫る高齢者との家族問題を解決できるのではないだろうか。
    1.祖母の入院によって実感したこと
    現在私は母と80歳になる祖母と同居している。祖父は7年前、父は5年前に他界しているため祖母が一家の大黒柱となっている。祖母はこれまで大変元気で畑仕事や庭木の手入れなど率先して行ってくれていた。家事なども母と祖母が分担して行っているが、母は平日働きにでているため土日以外は大抵の家のことを祖母が行っている。掃除、洗濯、夕食作りなど母も私も祖母に頼っている部分はとても多い。そんな祖母が去年の10月に入院した。祖母がいなくなって一番に実感したことは、家事はもちろんだが、家に帰ってきて人がいないというのは大変寂しく不安であるということだ。一人で暗く、寒い家に帰ってきて電気をつけるというのはこれほど憂鬱なことかが分かった。家族にとって、ただ祖母が家にいるだけで大切な役目なのである。留守を守る人がいるということは安心感をもたらしくれるのだ。母はよく「なにもしなくてもいいからおばあちゃんに家にいてくれるだけで十分だ。」と言っているがその通りだと実感した。
     しかし、退院してきた祖母にとっては今まで休む暇もなく働いてきたため、家でじっとしていることは大変苦痛のようである。そして、早く前のように働きたいと言っていた。このように祖母自身も頼られているということによって、生活していく上での生きがいをもたらしてくれているのだ。
     また、祖母は私のよき相談相手でもある。私が母と衝突した際はいつも祖母に愚痴をもらしに行く。しかし、祖母はどちらを加勢するわけではなくただ黙って聞いてくれ、最後にはいつも私を諭し母との仲直りに一役かってくれるのだ。そして家族を円滑にまとめてくれるのである。よって祖母は潤滑油的な役割も果たしてくれている。しかしだから、といって私を甘やかすこともなく、悪いことをしたときは必ず叱る、または母に報告するなどして徹底的に善悪を教えようとする。確かに大人になるにつれてものの善悪の認識は最も重要なことであり、全ても事柄の根本になっているため祖母は徹底的にしつけを行ったのだろう。
     私にとって祖母、癒しの存在でもあり怖い存在でもあるのだ。
    2.祖父が教えてくれたこと
    7年前に他界して祖父から学んだことは大変多い。礼儀や精神的な部分での事柄が多いように感じている。例えば箸の持ち方、ご飯の食べ方、片付けの仕方、目上に人に対する敬い方、女性のあり方などである。それは義侠心や公共心、伝統的な性役割、敬老精神を養ってくれるものであり、今現在の人生観や生活に大きく反映し、私の根本の考え方になっている。長い人生を経験してきた祖父の言葉は普段反発してしまう父や母に比べて受け入れやすく、大変重みがあった。
    また正月や祭事など伝統的な儀式へ学びも大きかった。例えば祖父は毎年大晦日になると私を神棚の掃除やお宮様参りなどに連れっていってくれた。そして神棚の大黒様と恵比寿様の位置、お宮様のお参りの仕方など様々な伝統的な事柄、風習を教えてくれたのだ。決して父母からは学ぶことが

    タグ

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    はじめに
     わが国では生活水準の向上による平均寿命の大幅な伸びにより、高齢化が急速に進んでいる。1970年に高齢者化社会になり1994年に高齢社会に突入した。このままいくと2015年には4人に一人が高齢者という時代を迎えることになる。
     それに伴い高齢者問題がいくつかは発生する中で、高齢者の家族生活問題がある。老年者の家族における役割はどのようなものがあるか、老年者の受容性はどのようにあるのだろうかなどを理解することでこれから差し迫る高齢者との家族問題を解決できるのではないだろうか。
    1.祖母の入院によって実感したこと
    現在私は母と80歳になる祖母と同居している。祖父は7年前、父は5年前に他界しているため祖母が一家の大黒柱となっている。祖母はこれまで大変元気で畑仕事や庭木の手入れなど率先して行ってくれていた。家事なども母と祖母が分担して行っているが、母は平日働きにでているため土日以外は大抵の家のことを祖母が行っている。掃除、洗濯、夕食作りなど母も私も祖母に頼っている部分はとても多い。そんな祖母が去年の10月に入院した。祖母がいなくなって一番に実感したことは、家事はもちろんだが、家に帰っ...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。