生理学実験
唾液分泌
1、目的・緒言
以前にグルコースの腸管吸収の実験を行い、消化によりグルコースが如何にして吸収されるかを学んだ。今回は消化の最初の過程である口腔における唾液による消化、すなわち唾液アミラーゼによる消化について実験を行った。
唾液の役割は主に食物を湿らせ、部分的に消化をしてその後の消化を助けることである。他にも唾液中には抗菌作用をもつリゾチームが含まれ、口腔内の感染を予防したりする。反芻動物では唾液は重炭酸を含みアルカリ性で、第一胃で発酵により発生した酸の中和に役立つ。また蒸発性冷却を利用し体温の冷却にも役立つ。
唾液中に含まれる消化酵素のアミラーゼはデンプンの消化を行い、加水分解によりマルトースを生成する。マルトースはその後マルターゼによりグルコースに分解されてグルコースは腸管にて吸収されることなる。
唾液腺は外部からの刺激により、セカンドメッセンジャーであるCa2+やcAMPの濃度を上昇させて情報を伝達し唾液成分(例えばアミラーゼ)の分泌を行う。今回の実験で用いる耳下腺は副交感神経の支配を受けるムスカリン受容体、さらに交感神経の支配を受けるα1-アドレナリン受容体、β-アドレナリン受容体を持つ。ムスカリン受容体とα1-アドレナリン受容体はPIP2経路を辿り小胞体からCa2+の放出を促して情報の伝達を行う。一方β-アドレナリン受容体はPIP2経路ではなくアデニル酸シクラーゼによりATPをcAMPにして情報伝達を行う。また、P物質とよばれるペプチドもPIP2経路によりCa2+の放出を促して情報の伝達を行う。
今回の実験は2日間にわたって行われた。1日目は2日目の実験の練習で、唾液腺(耳下腺)から細胞分離を行い、腺房及び導管の観察を行った。2日目は1日目で得た経験を元に、同じく細胞分離を行い、その後ACh及びIsoproterenolを加えて、耳下腺からのアミラーゼ分泌の様子を確認し、アミラーゼ活性を求めることを目的とした。
AChはムスカリン受容体に受容されて、細胞内Ca2+の濃度を上昇させる。またIsoproterenolは通常気管支喘息の治療に用いられるが、カテコールアミンのアゴニストでβアドレナリン受容体に結合して細胞内cAMPの濃度を上昇させる。これによりセカンドメッセンジャーの違いによるアミラーゼ活性の違いを調べることも目的とした。
2、材料・試薬・器具
ラットの耳下腺
HEPES buffer、細胞分離液(コラゲナーゼtypeⅡ・BSA1%を含むHEPES buffer)、
ACh、Isoproterenol、
基質緩衝液(0.4mg/mℓ)
遠心管、シャーレ、ハサミ、フラスコ、マイクロピペット、フィルターユニット、エッペンチューブ
3、方法
―――――1日目――――― 安楽殺したラットから唾液腺(耳下腺・顎下腺)を採取した。(この操作は先生方により既に行われていた) 我々の班は耳下腺で実験を行った。
HEPES bufferを入れたシャーレ内で耳下腺から脂肪細胞及びリンパ節をピンセットを用いて取り除いた。
耳下腺をハサミで細かく切断した。このとき、およそ300回切断を行った。
細胞分離液(コラゲナーゼtypeⅡ・BSA1%を含むHEPES buffer)5mℓ入りの小フラスコに細かく切断した耳下腺を入れた。100%酸素で10秒間通気し、15分ごとにピペッティングを行い37℃で30分間インキュベーションを行った。
フィルターユニットを用いて
生理学実験
唾液分泌
1、目的・緒言
以前にグルコースの腸管吸収の実験を行い、消化によりグルコースが如何にして吸収されるかを学んだ。今回は消化の最初の過程である口腔における唾液による消化、すなわち唾液アミラーゼによる消化について実験を行った。
唾液の役割は主に食物を湿らせ、部分的に消化をしてその後の消化を助けることである。他にも唾液中には抗菌作用をもつリゾチームが含まれ、口腔内の感染を予防したりする。反芻動物では唾液は重炭酸を含みアルカリ性で、第一胃で発酵により発生した酸の中和に役立つ。また蒸発性冷却を利用し体温の冷却にも役立つ。
唾液中に含まれる消化酵素のアミラーゼはデンプンの消化を行い、加水分解によりマルトースを生成する。マルトースはその後マルターゼによりグルコースに分解されてグルコースは腸管にて吸収されることなる。
唾液腺は外部からの刺激により、セカンドメッセンジャーであるCa2+やcAMPの濃度を上昇させて情報を伝達し唾液成分(例えばアミラーゼ)の分泌を行う。今回の実験で用いる耳下腺は副交感神経の支配を受けるムスカリン受容体、さらに交感神経の支...