生理学実験
ラット腹腔肥満細胞におけるエキソサイトーシスの観察
1、目的・緒言
細胞内で産生された物質が細胞外へと分泌されるにはいくつかの様式がある。細胞の崩壊により全物質が放出される全分泌と細胞の一部が分泌される部分分泌がある。部分分泌はさらに分けることができ、分泌物が細胞の自由縁から離脱する離出分泌、顆粒膜と細胞膜を透出分離、そして顆粒膜と細胞膜が融合して中の分泌物だけが細胞外へ分泌される開口分泌(エキソサイトーシス)がある。
本実験では細胞内Ca2+に注目し、エキソサイトーシスの様子を観察することを目的とする。細胞内のCa2+はセカンドメッセンジャーとして働き、生理的な情報を伝達する。今回使用する肥満細胞はヒスタミンやセロトニンといった分泌顆粒を貯蔵して、IgEによる刺激に応じてエキソサイトーシスを行う。この過程はCa2+に依存しており、刺激はCa2をセカンドメッセンジャーとして伝達されエキソサイトーシスが行われる。
抗原と結合したIgEが肥満細胞膜上のレセプターに結合すると、Gプロテインが活性化してホスホリパーゼC(PLC)を活性化する。PLCはホスファチジルノシトール2リン酸をイノシトール3リン酸(IP3)とジアシルグリセロール(DAG)に分解する。IP3は細胞内を拡散し、小胞体からCa2+を放出させる。この放出されたCa2+はエキソサイトーシスにより細胞外へ分泌される。
今回の実験では、Ca-ionophore A23187を用いて人為的にCa2+を細胞内へ流入させて濃度をあげてエキソサイトーシスを起こさせて、その様子を観察した。
2、材料・器具
ラット腹腔肥満細胞
実験溶液(※1)、1MCaCl2、Ca-ionophore A23187
マイクロピペット、遠心分離機、遠心管、光学顕微鏡、培養用24穴プレート
1…NaCl(154mM)、KCl(6mM)、MgCl2(1.2mM)、D-glucose(10mM)、HEPES(10mM)、BSA 1%
3、方法
◆肥満細胞を含む細胞顕濁液の調整
・前段階(先生方が準備をしてくれた過程)
安楽殺したラットの腹腔内に、37℃にあ
たためた実権溶液(15ml)を注入し、1分
間程腹部をマッサージする。そして腹部
を正中切開して実験溶液を腹水とともに
遠心管に回収する
・以下の内容から我々が実験を行った。
(1) 1000rpm(250xg)で先ほどの遠心管を5
分間遠心した。
(2) ペレットを巻き上げないようにピペットを用いて上清を丁寧に回収して捨てた。
(3) 実験溶液を4μℓ加えて、ピペッティングを用いて再顕濁を行った。このとき、ピペッティングは20回程度行い、細胞を傷つけないよう丁寧に行った。
(4) 上記の(1)~(3)を更に2回繰り返した。
(5) 調整した細胞顕濁液は使用直前まで氷
冷保存した。
◆形態変化の観察
(1) 培養用24穴プレートの4つのウエルに細胞顕濁液を100μℓずつ滴下し、室温で5分間静置した。
(2) ウエル内の液をピペットで丁寧に除去
して、2つのウエルに(A,B)に室温保存
しておいた新鮮な実験液を500μℓ、
残りの2つのウエル(C,D)には
A23187(3μM)を含む実験液を加え、5
分間静置し光学顕微鏡で観察を行い、
肥満細胞の確認を行った。
(3) B,Dのウエ
生理学実験
ラット腹腔肥満細胞におけるエキソサイトーシスの観察
1、目的・緒言
細胞内で産生された物質が細胞外へと分泌されるにはいくつかの様式がある。細胞の崩壊により全物質が放出される全分泌と細胞の一部が分泌される部分分泌がある。部分分泌はさらに分けることができ、分泌物が細胞の自由縁から離脱する離出分泌、顆粒膜と細胞膜を透出分離、そして顆粒膜と細胞膜が融合して中の分泌物だけが細胞外へ分泌される開口分泌(エキソサイトーシス)がある。
本実験では細胞内Ca2+に注目し、エキソサイトーシスの様子を観察することを目的とする。細胞内のCa2+はセカンドメッセンジャーとして働き、生理的な情報を伝達する。今回使用する肥満細胞はヒスタミンやセロトニンといった分泌顆粒を貯蔵して、IgEによる刺激に応じてエキソサイトーシスを行う。この過程はCa2+に依存しており、刺激はCa2をセカンドメッセンジャーとして伝達されエキソサイトーシスが行われる。
抗原と結合したIgEが肥満細胞膜上のレセプターに結合すると、Gプロテインが活性化してホスホリパーゼC(...