くまえり事件を都市のトポロジー序説の観点から考察してあります。
「都市のトポロジー序説」
この「都市のトポロジー序説」というものは、現代の都市に生きるとき、その空間の広がりの感覚の仕方について予兆的に捉えたものである。今回はそれに関連させて、くまえり事件を見ていこうと思う。
この論文では、まず始めに意識の不安/身体の拒絶についてムラと都市を具体例に挙げて書かれている。そして、作者は都市の現在を抽出するこの言説として意識の不安/身体の拒絶を挙げている。意識の不安とは、本来であればアイデンティティの確立に対する不安であるが、この論文ではムラと都市との境界があいまいになり都市自体が変貌していくことへの不安をさしている。一方、身体の拒絶とはこういった意識の不安で証明したような都市の変貌に対する無意識的な拒絶のことをさす。この拒絶は、集合的な痕跡となりその痕跡こそ犯罪という形で現れる。
我々が活動する現実的な都市においては、空間的な距離が諸メディアによって様々に縮められたり、無視されたりし、やはり異質な空間、街、区域、人々などが相互に横断的に「隣接」させられている。つまり、様々なメディアによって空間はかなり近づけられたということである。例えば考えてみると、東...