独占禁止法で規制される私的独占について約2000字で論じています
本レポートの概要
独占禁止法の規制の一つとされる私的独占の行為要件は、「他の事業者の事業活動を排除し、又は支配すること」と定義される。この行為要件は、その行為によって「公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限する」という市場効果要件で判断される。本レポートでは、平成21年の排除型私的独占ガイドラインを軸として、同要件の解釈について論じる。
行為要件
私的独占の実質的な行為要件は、「排除し、又は支配すること」であるが、「排除」とは、市場支配力を獲得あるいは強化しようとする様々な行為によって、他の事業者が独自の事業活動を続けること、あるいは新規参入を著しく困難にすることをいう。「支配」とは、他の事業者を直接間接に拘束しあるいは強制することによって、その事業活動を自己の意思に従わせることである。
排除型私的独占に係る独占禁止法上の指針
平成21年10月28日に公正取引委員会が公表した「排除型私的独占に係る独占禁止法上の指針」では、「他の事業者の事業活動の継続を困難にさせたり、新規参入者の事業開始を困難にさせたりする蓋然性の高い行為は、排除行為に該当する」と...