日本語(格助詞「が」と「を」の違い)
最初に、1のグループの格助詞の意味役割を考えてみたいと思う。このグループでは「が」と「を」の意味役割の違いを考えていく。
まずは、このグループの各例文の意味を考えてみる。
1.水 [ ] 飲みたい
2.スカート [ ] はきたい 「が」だと?
3.魚 [ ] 焼きたい 「が」だと??
この文の各空欄に「が」と「を」それぞれを入れると、どのような違いが出るか、そこから始めたいと思う。
1の例文の場合、「が」だと水は飲みたい対象と考えることができる。「を」の場合でもそれは変わらないが、違いをあげるのなら「が」の方がとり水そのものに対しての限定がより強い気がするということだ。「飲みたいのはコーラでもお茶でもない!水である!」そういった意思をより感じることができなくも無いだろう。
2の例文の場合もどちらを入れるにしろ、はきたい対象としてスカートが存在するのは変わらないだろう。ただ「が」の方が使う場面はより限定されそうである。そのニュアンスの違いに注目してみたい。「が」の場合だと、やはり「はきたいものはスカート」という明確な意思が前面にでていると考えることができる。例を挙げるなら、はくものに選択肢がある場合、「他のものははきたくない」ともとることができる。逆に「を」の場合、他のものとの比較ではなく単純な希望ととることができる。
3の例文の場合、「が」だと使う場面がかなり限定される。それは「焼く」という行為自体は決定している場合でしか使えないということである。「焼く」範囲の中で他のものではなく、魚がいい。そうとることができるだろう。
以上のことから考察するに、動作の対象を意味とする「が」と「を」の違いとは、
「が」の場合だと、文の述語(または動作)の中での「限定」を表し、
「を」の場合だと、文の述語(または動作)以外(つまり広い次元)の中での「限定」も表すことができる
ということではないだろうか。具体的にいうと、例文の場合、「が」だと、「飲みたい」=「飲む」、「はきたい」=「はく」、「焼きたい」=「焼く」ということを前提としているということだ。つまり、1の場合、何かを飲む、という上での話で、飲むものは「水」を選んだ(限定)ということである。
逆に、「を」の場合、「何かを飲む」という前提の話ではなく、「何をする」という前提の場合で使うことができる。つまりそれはもっと広い選択肢の場合でも使えるということで、A:「じゃあ出ようか?」 B:「待って、とりあえず、一杯水を飲んでから」 この会話が成り立つのも、2つ全く違う動作だとしても、「出る」=動作、「飲む」=動作、という「動作」という次元で同じだから、ということであると考えられる。他の例も挙げて検証してみたい。
4.日本語 [ ] 勉強したい / 5.宇多田 [ ] 聞きたい
6.窓ガラス [ ] 割りたい
以上の例文に関して、[ ]に「が」と「を」をそれぞれ入れてみる。
4の場合「が」→勉強したいのは日本語
「を」→日本語を勉強、ということがしたい
5の場合「が」→聞きたいものが宇多田の曲
「を」→ゲームをするのでなく、宇多田の曲を聞きたい
6の場合「が」→割りたいものは窓ガラス
「を」→何をやりたいのかというと窓ガラスを割りたいということ
違いをあげるなら上記のようになるだろう。ここでさらに考えておきたいのが、「を」の場合、「が」の文章と同じ場合でも使えるというところである。つまり、動作の対象を意味とする「が」と「を」の関係は下の図(図1)のように考える
日本語(格助詞「が」と「を」の違い)
最初に、1のグループの格助詞の意味役割を考えてみたいと思う。このグループでは「が」と「を」の意味役割の違いを考えていく。
まずは、このグループの各例文の意味を考えてみる。
1.水 [ ] 飲みたい
2.スカート [ ] はきたい 「が」だと?
3.魚 [ ] 焼きたい 「が」だと??
この文の各空欄に「が」と「を」それぞれを入れると、どのような違いが出るか、そこから始めたいと思う。
1の例文の場合、「が」だと水は飲みたい対象と考えることができる。「を」の場合でもそれは変わらないが、違いをあげるのなら「が」の方がとり水そのものに対しての限定がより強い気がするということだ。「飲みたいのはコーラでもお茶でもない!水である!」そういった意思をより感じることができなくも無いだろう。
2の例文の場合もどちらを入れるにしろ、はきたい対象としてスカートが存在するのは変わらないだろう。ただ「が」の方が使う場面はより限定されそうである。そのニュアンスの違いに注目してみたい。「が」の場合だと、やはり「はきたいものはスカート」という明確な意思が前面にでている...