平家物語の「扇」の中の那須与一の話は、授業にも出てきたが、平家の「船の上の扇を射ってみよ」との平家の挑戦を受けた源氏(那須与一)が見事に的である扇を射切るという話である。
この話と初めて出会ったのは、確か中学の古典の授業だった。その時は単純に、「与一ってすごいなぁ」という感想で終わった。しかし、大学でもう一度出会った与一には、色々立ち止まる所が出てきた。その理由の大きな要因として、大学で弓道部に入った事が関係していると思う。そして、平家物語の有名な射手、与一に非常に興味が沸いてきた。今回実際に弓を引きながら、この話と向かい合ってみた。
阿波・讃岐で合戦中の源氏と平氏。「今日はもう日が暮れたから引き上げよう」と源氏が兵を引く準備をしていると、平家方から、扇を竿の先に付けた船が一艘出てきた。判官の義経が、後藤兵衛実基に、「あれは何だ。」と尋ねると実基は「弓の名人に射させよという事でしょう。」と答え、飛ぶ鳥3匹の内2匹を射ち落とすという那須与一を射手に選ぶ。いきなり上司の前に呼び出される与一。命令は「船の上の扇を射ろ」。与一は最初自分には出来ないと断る。
そこでまず私は少し疑問に思う。確かさっき与一の説明で、「飛ぶ鳥を射ち落とす」と紹介していた。弓道の経験から言うと上方の鳥を狙うよりも、水平に近い扇を狙うほうが確実に楽勝なはずだ。大体、自在に飛ぶ鳥よりも船の上の扇の方が安定していると思う。でもまぁ、年若い与一は、謙遜して出来ないと言ったのかもしれないと思いつつ先を読んだ。
まもなく与一は馬に乗って現れた。時は二月十八日、午後六時ごろ。扇との距離七段(約76.356M)。北風激しく、波は荒れ、的である扇は船とともに絶えず動く。与一は、神や仏に祈って弓を構える。
現在の弓道には近的と遠的がある。近的の的との距離は28M、遠的の的との距離は60Mだ。
那須与一の弓道
平家物語の「扇」の中の那須与一の話は、授業にも出てきたが、平家の「船の上の扇を射ってみよ」との平家の挑戦を受けた源氏(那須与一)が見事に的である扇を射切るという話である。
この話と初めて出会ったのは、確か中学の古典の授業だった。その時は単純に、「与一ってすごいなぁ」という感想で終わった。しかし、大学でもう一度出会った与一には、色々立ち止まる所が出てきた。その理由の大きな要因として、大学で弓道部に入った事が関係していると思う。そして、平家物語の有名な射手、与一に非常に興味が沸いてきた。今回実際に弓を引きながら、この話と向かい合ってみた。
阿波・讃岐で合戦中の源氏と平氏。「今日はもう日が暮れたから引き上げよう」と源氏が兵を引く準備をしていると、平家方から、扇を竿の先に付けた船が一艘出てきた。判官の義経が、後藤兵衛実基に、「あれは何だ。」と尋ねると実基は「弓の名人に射させよという事でしょう。」と答え、飛ぶ鳥3匹の内2匹を射ち落とすという那須与一を射手に選ぶ。いきなり上司の前に呼び出される与一。命令は「船の上の扇を射ろ」。与一は...