現代デモクラシーの特性
現代デモクラシーの特性は、「膨大な数の人々を含む巨大民主主義」「民主主義の基本的価値としての自由と平等」「巨大(国家)機構を伴う民主主義」である。
現代デモクラシーを一言で言い換えるならば「大衆デモクラシー」である。ここでいう「大衆」とは大量の都市労働者ということである。古代、近代、現代のデモクラシーを比較してみて、現代に目立つ特徴は大量の人々が参加していることだ。その「大衆」が登場してきた流れを見てみよう。19~20世紀にかけて産業革命を背景に、急速な工業化が進展して資本主義の発展につながった。その流れの中で、企業の集中と統合によって独立経営者層が衰退し、都市形成と農村共同体の衰退が原因で共同体的権威と秩序が崩壊した。また、分業に伴う専門家と官僚制化が進み、高度テクノロジーの発達とそれに伴って人間観が変容し、さらに普通教育・マスコミニュケーション・交通網が発達したことで国民国家を背景とした市場と文化が成立し、大量生産・大量消費の時代が到来すると画一的文化が誕生した。このようにして「公衆の共同体」としての市民社会の社会的基盤が変容してしまったことで「市民の時代」...