帝国主義

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    資料紹介

    社会思想史レポート
    ・『帝国主義』要約
    ・幸徳秋水について
    第一章 緒 言
     帝国主義は、燎原の火のごとく勢いをつけて拡大している。世界中の人民がその主義にひれ伏し、これを賛美し、崇拝し、捧持しなければならないような風潮にある。
     国家経営の目的は、社会の永遠の発展にあり、全人類の福利の享受にある。つまり、現在のみの繁栄は無意味なもので、永遠の発展を目指すべきである。また、国家は、単に小数階級の権勢のためにあるのではなく、全人民の福利のためにある。
     しかし、今の国家と政治家が奉持している帝国主義というものは、まったくその逆で、一時の繁栄や、一時の幸福に興じようというものである。
    第二章 愛国心を論ず
     愛国心を経とし、軍国主義(ミリタリズム)を緯として帝国主義は織り成している。よって、帝国主義の是非を問うなら、まずはいわゆる愛国心と、いわゆる軍国主義について明らかにするべきであろう。
     いわゆる愛国心とは、けっして醇乎な惻隠同情の心ではない。人間が集団として纏まる際に必然的に外部を排除しようとする、好戦的、攻撃的な動物的天性なのである。欧米十九世紀の文明では、激烈な自由競争が繰り広げられ、外には大敵がいるかのような虚実がはびこり、国民は自らの国を愛さないものは、非愛国者なり、国賊なり、と非難された。これはまさに動物的天性を挑発することに他ならない。
     愛国心とは、自家を愛すべし、他人を憎むべし、同郷人を愛すべし、他郷人を憎むべし、神国(日本)や中華(中国)を愛すべし、西洋人や夷荻を憎むべし、とされ、愛すべき者のために憎むべき者を討つ精神であるとされる。このようなものは単なる迷信であり、専制政治家が自家の名誉と野心を達するための利器と手段に供せられるものである。
     そして、政治家は愛国宗を創建するために、無用の戦争を起こす。挙国一致を実行することで、国内の不満を外に向けるのである。国民が国威国光の虚栄に酔うのは、個人がブランデーに酔うのと同じようなことである。興奮していて気づかないだけで、じつは汚らわしい行為を繰り返しているのである。
     以上のことより、いわゆるパトリオチズム、いわゆる愛国心なるものは、すなわち野獣的天性であるといえる。迷信であり、熱狂であり、虚誇であり、好戦の心である。人間に天性的に備わっているものだからといって、やむを得ないといってしまうのは間違いである。自然に備わっている悪性を克服してこそ、人類の進歩といえのではなかろうか。自然におこる欲情を抑制することのできる人民は、道徳の進歩した人民なのである。文明の福利を得たくば、自然に盲従しないことである。
     ゆえに、文明世界の正義人道という視点から考えても、いわゆる愛国心はけっして許していいものではないのである。
    第三章 軍国主義を論ず
     軍国主義を正当化する言説は古今東西にあるが、すべて否定されるべきものである。軍備を誇揚することを休め、徴兵の制を崇拝することを止めなければならない。防御以外の目的で軍備を拡張することは不必要である。
     にもかかわらず、軍備拡張を促進する原因・理由は、他でもない、一種の熱狂、虚誇の心、好戦的愛国心によるのである。甲国が軍備を拡張したからといって、甲国が攻めてきたときのために乙国も軍備を拡張、乙国が軍備を拡張したからといって、乙国が攻めてきたときのために甲国がまた軍備を拡張…。このようなことを無限に繰り返す行為は、じつに馬鹿らしいことである。
     戦争は疾病であることにも注意しなければならない。百年前においては慢性症疾病であったが、今日は国民皆兵によっ

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    社会思想史レポート
    ・『帝国主義』要約
    ・幸徳秋水について
    第一章 緒 言
     帝国主義は、燎原の火のごとく勢いをつけて拡大している。世界中の人民がその主義にひれ伏し、これを賛美し、崇拝し、捧持しなければならないような風潮にある。
     国家経営の目的は、社会の永遠の発展にあり、全人類の福利の享受にある。つまり、現在のみの繁栄は無意味なもので、永遠の発展を目指すべきである。また、国家は、単に小数階級の権勢のためにあるのではなく、全人民の福利のためにある。
     しかし、今の国家と政治家が奉持している帝国主義というものは、まったくその逆で、一時の繁栄や、一時の幸福に興じようというものである。
    第二章 愛国心を論ず
     愛国心を経とし、軍国主義(ミリタリズム)を緯として帝国主義は織り成している。よって、帝国主義の是非を問うなら、まずはいわゆる愛国心と、いわゆる軍国主義について明らかにするべきであろう。
     いわゆる愛国心とは、けっして醇乎な惻隠同情の心ではない。人間が集団として纏まる際に必然的に外部を排除しようとする、好戦的、攻撃的な動物的天性なのである。欧米十九世紀の文明では、激烈な自由競争が繰り広げ...

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