「お早う」の世界の虚像と実像
今回見た小津安二郎監督の映画「お早う」では、あいさつをするかしないかによってこんなにも周りとの世界が変わってきてしまうのかと思うほど、あいさつをすることがどのようなものかということが中心に置かれていた気がした。このあいさつの持つ人々とのつながり、その些細な、繊細な、とるにもたらない、だが必要な線としての会話、「おはよう」「いいお天気ですね」、「こんにちは」「こんばんは」等、これらの必要性を訴えていた。
この物語は、新興住宅地に住む林一家を中心に展開していった。この新興住宅地に住む子ども達の間では奇妙なおなら遊びがはやっていた。子ども達の最大の関心事は、まだ出始...