鏡像描写
■目的
身体運動と知覚は相補的に働き、協働して環境に適応的な行動を起こすことがある。この時、運動と知覚の間に協応があるという。スポーツや筆記など、我々の身の回りには運動と知覚の協応を必要とする行動はたくさんあり、これらは初めから運動と知覚が協応していたのではなく、発達過程における学習によって協応するようになったものである。この学習を「知覚=運動学習」という。知覚=運動学習において、前に学習したことが後の学習に影響を与えることが知られている。この事を学習の転移といい、例えば右手による学習経験が左手による学習に対し促進的に働くことが挙げられる。これを特に「両側性転移」という。本実験では、まず、反復試行に伴う鏡像描写の上達過程を調べ、どのような型の学習曲線がえられるかをみる。
本実験では鏡に映った手を見ながら線を引くという鏡映描写を用いて運動と知覚の間に協応が無い状況を実験的に作り出し、線引きの学習過程で両側性転移が起こるか調べることで知覚と運動の協応学習のメカニズムを検討する。
■方法
(1) 器 具 図形パターン、鏡、ストップウォッチか秒針つきの時計、図形を覆う遮蔽、鉛筆
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