請負契約と売買契約の異同

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    「請負契約と売買契約の異同」
     売買契約は財物と金銭を交換する契約である(民法555条)。売主が財産権を買主に譲渡し、その対価として買主が代金を支払う事を約束する有償・双務・諾成・不要式の契約である。これにたいして、請負契約は仕事の完成結果と金銭を交換する契約である(民法632条)。請負人がある仕事の完成を約し、注文者がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束する有償・双務・諾成・不要式の契約である。
     ある財物(A)を一定時期まで引渡すという売買契約を考えてみる。この売買契約の財物(A)がある仕事結果の産物(A)と同等物である場合は請負契約も成立するのではないだろうか。請負契約においては物Aを用意する(製作する、調達する等の手段は問われない)ことによって債務を果たすことになる。そして、売買契約においても物Aを調達する義務は生じている。よって、結果的には同じ契約のように思える。しかし、売買契約においては、契約が成立した時点で財物の財産権が買主に移動しているのに対して、請負契約においては、請負人が財物の用意(仕事の完成)が出来るまでは財産権が請負人にあり、移動しないことが異なっている...

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