科目コード
07809「児童理解と教育相談」第二分冊
07809 児童理解と教育相談
<略題>
教育の三段階
<課題>
教育相談には啓発・予防・治療の 3 段階があります。それぞれ
の段階で教員がすべきことは 何かを簡潔に論じなさい。また,
「口数が減った児童に気がついた」場合を例にして,それ は前
述のどの段階なのかを述べたうえで,教員としてどのように対応
するか述べなさい。そ の際,児童にどのように声をかけるのか
やりとりを含めて書きなさい。口数が減っている児 童に対し
て,ただ話しかけるのではなく,テキスト全体を学習し,児童を理
解する視点から 言葉がけをすること。
<レポート開始>
教育相談とは児童の学業、進路、社会性、健康など様々な事柄
について助言を与えたり援助したりすることである。学校教育
では単に学業を教えるだけでなく生徒の生活や健康を援助する
ことが重要であるため教育相談の重要性が認知されている。教
育相談とは言い換えると、子供の持つ悩みや困難の解決の相談
や支援をすることで、悩みを抱える子供が快適に生活できるよ
うになり人間的に成長を出来るように援助する事である。教育
相談を通して具体的な支援の提供だけでなく、生徒一人一人を
大切にしてるというメッセージを伝えられその事だけで生徒の
大きな支えになるので教育相談は有効な活動である。教育相談
の重要性は確認されていて、学校によっては教育相談に対する
学校としての目標や方針を定め、教職員全員が教育相談の意味
や重要性を共通理解する機会を設けるなど、教育相談に対す る
教職員全員の認識を高めることに勤めている。さらに、教育相
談週間を設けたり、学年の毎学期に児童生徒一人一人に対して
学級担任による定期的な教育相談 を行うなど、積極的な教育相
談に転換していくことを推進していたりする。
教育相談には第1次的予防「啓発」、第2次的予防「予
防」、第3次的予防「治療」の三段階があるとされている。
第1次的予防「啓発」では集団を対象とし児童が自分の個性を
伸ばしかつ他者との折り合いを見つけるような社会性を見いだ
し自分と他者の存在を肯定的に捉えられるような活動が取り入
れられている。例えば、ピアサポートという問題解決をすでに
習得した児童が問題に直面している児童に対して支援を行う手
法がある。他にはアサーションという自己や他者に対して肯定
的な言葉の表現を使うようにして自分の考えや他者の事を述べ
るようにすることで自己や他者を肯定的に捉えられるようにす
る手法がある。他には構成的グループ•エンカウンターという集
団で課題を遂行しながら心が触れ合うようにしてお互いに成長
をする、などの手法がある。いづれの手法においても自己およ
科目コード
07809「児童理解と教育相談」第二分冊
び他者のことを肯定的に捉えることができるようになり、心の
健康問題を引き起こさないための素地作りを目指す。
第2次的教育相談は、口数が減ったり学習意欲をなくしたり
登校を渋るなどの一部の配慮が必要な児童を対象とする。一次
的教育相談が全体的な集団を対象にしてい たのに対してこちら
の対象は一部絞られた対象となる。なるべく早い段階で見つけ
問題が大きくなる前に予防をする。早い段階で兆候を発見する
ために児童の様 子をよく観察して児童が発するSOSシグナルを
見つけることが求められる。児童のSOSシグナルは行動の変化
や身体の変化、情緒面の変化で観察することができる。
!
1次や2次教育相談では問題がなくなるようにすることが目的で
はなく、児童が問題に取 り組む支援をしてそれを乗り越えなが
ら成長できるようにすることが目的である。児童が抱える問題
が児童に過大な発達妨害を加えるものでないことを確認するこ
とも重要である。
3次的教育相談は,特別に重大な援助が必要な児童が対象と
なる。児童の状況についての精密な「見立て」(心理教育的ア
セスメント)の実施とそれに基づく「介入指導計画」(個別プ
ログラム)の作成を行い教師やスクールカウンセラーが連携し
て援助チームをつくり対応する。
ここで口数が減った児童を例として、教育相談を行う事例を書
いてみる。口 数が減った児童を発見したときに行う教育相談と
しては、できる限りこの児童の様子を早期に発見するように日
頃から様子を観察しておく必要がある。あくまで、問題解決が
目的ではなく児童が問題に取り組む支援をして児 童が成長でき
るように応援することが目的である。具体的には児童に声をか
け、学業における宿題などを特に丁寧に見て成果をほめ学習意
欲の保持に努める。
教員:「この間の作文、とても上手だったよ。先生は○○ちゃん
の文章やお話が大好きだな。そういえば○○ちゃん最近あまりお
しゃべりしない気がするけれどどうしたのかな?」
児童:「そんなことないよ」
教員:「それならいいのだけれど」
児童:「最近、ママが忙しいの」
教員:「そうなんだね。お母さんか忙しいから○○ちゃんはさみ
しいのかな?」
児童:「少し、寂しい。」
教員:「寂しいってお母さんに言ってみた?」
児童:「言ったよ。」
こんな会話を通して児童に対して気にかけていることを伝えつ
つ何が問題があるときに話やすい環境を作っておくことが考え
られる。
科目コード
07809「児童理解と教育相談」第二分冊
その上で児童の状況において情報を集めるように努める。この
児童の口数が減った理由を見つけられるのであれば、見つける
ようにする。これらの活動を通して児童に「見守っています
よ。気にかけていますよ」というメッセージを伝えることがで
きる。児童が家族とコミュニケーションをとっているかどうか
などの情報を得る事ができる。2次的教育支援では、配慮が必
要とされる児童の発見、およびその問題の把握を行い3次的教
育相談が必要かどうか検討する。
このように、問題の段階に適切に第1次教育相談、第2次教育
相談、第3次教育相談とすすめることが求められる。