知的障害児施設について
1.知的障害とは
知的障害は、一つの病気ではなく、様々な原因により生じた知能の発達の遅れの状態とされる。 (1)出生前の原因 ダウン症候群などの染色体異常、先天性代謝異常、脳の先天的奇形、胎生期の環境による障害(サリドマイド症、胎児性アルコール中毒など)。 (2)周産期に発生する場合の原因 分娩仮死、重症黄疸、低血糖など。 (3)出生後に発生する場合の原因 急性脳症後遺症、頭部外傷など。 (4)原因不明 80%以上が原因不明。特に障害の程度が軽い場合の原因は、不明なことが多い。
2.知的障害児関連の対策の沿革
1947年制定の児童福祉法により、知的障害児施設、肢体不自由児施設などが位置付けられたことにより始まった。さらに、1960年の精神薄弱者福祉法の制定により子どもから成人に至るまでの一貫した保護・援助の体制が整えられた。しかし障害児(者)に対する対応は、18歳を境にして児童福祉法と精神薄弱者福祉法、身体障害者福祉法で別々に行われていたが、年齢によって保護・指導の体系を別々にすることは障害児(者)の特性から適切でない場合が少なくなく、これらの問題、弊害を解決、除去するために1967年に児童福祉法および精神薄弱者福祉法、身体障害者福祉法が改正された。
これにより、児童福祉施設に満18歳まで(必要に応じて20歳まで)という入所の年齢制限が緩和され、重度の者については20歳を過ぎても引き続き地頭福祉施設に在籍でき、一方児童である15歳からでも成人の障害者施設に入所できることとなり、障害児(者)に対する一貫した処遇、援助ができることとなった。
また同年、それまでの施設体系では十分に対応できなかった重度の知的障害と肢体不自由をあわせもつ重複障害児のための施設が、児童福祉法の一部改正により制度化された。
その後、1974年の中央児童福祉審議会の「今後推進すべき児童福祉対策について」の3つの目標、すなわち障害の治療・軽減、障害児の人間形成、障害児を取り巻く生活諸条件の整備を目指しながら、①発生予防、早期発見、早期療育施策、②在宅福祉施策、③施設福祉施策の3つの柱の中で、医療、教育、職業などに関する施策が総合的に推進されてきた。
1993年には、1970年の心身障害者対策基本法を改正した障害者基本法が成立し、この法律の対象が身体障害、知的障害、精神障害であること、障害者の完全参加と平等の理念、雇用に関する民間事業者の責務、公共的施設における障害者への配慮などが新たに規定された。
近年では、2000年の身体障害者福祉法改正(2003年4月施行)により、知的障害者福祉サービス、身体障害者福祉サービス、障害児福祉サービス(在宅サービスのみ)について、利用者が事業者と契約を結び、サービスの提供を受ける利用制度、いわゆる支援費制度となった。さらに2005年、障害者自立支援法によって支援費制度から障害者及び障害児がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるようにするために、従来の応能負担から原則1割負担を求め、障害者の福祉サービスを一元化し、保護から自立に向けた支援へ方向性が転換された。
3.知的障害児の実態と対策
知的障害とは、1990年厚生省の実施した知的障害児(者)基礎調査用いたものによれば、「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、なんらかの特別な援助を必要とする状態にある者」で、さらに「知的機能の障害とは、標準化
知的障害児施設について
1.知的障害とは
知的障害は、一つの病気ではなく、様々な原因により生じた知能の発達の遅れの状態とされる。 (1)出生前の原因 ダウン症候群などの染色体異常、先天性代謝異常、脳の先天的奇形、胎生期の環境による障害(サリドマイド症、胎児性アルコール中毒など)。 (2)周産期に発生する場合の原因 分娩仮死、重症黄疸、低血糖など。 (3)出生後に発生する場合の原因 急性脳症後遺症、頭部外傷など。 (4)原因不明 80%以上が原因不明。特に障害の程度が軽い場合の原因は、不明なことが多い。
2.知的障害児関連の対策の沿革
1947年制定の児童福祉法により、知的障害児施設、肢体不自由児施設などが位置付けられたことにより始まった。さらに、1960年の精神薄弱者福祉法の制定により子どもから成人に至るまでの一貫した保護・援助の体制が整えられた。しかし障害児(者)に対する対応は、18歳を境にして児童福祉法と精神薄弱者福祉法、身体障害者福祉法で別々に行われていたが、年齢によって保護・指導の体系を別々にすることは障害児(者)の特性から適切でない場...