『事例で学ぶ民法演習』の解答です。本書は、北海道大学の教授陣による民法の演習書です。本書は、家族法を除く財産法の全てを網羅しており、旧司法試験や予備試験レベルの中文事例問題で構成されています。
事例問題形式での民法演習書として本書の問題は完成度が高く、基本論点を総浚いするとともに、判例に則した見解で記述がなされており、現時点で、民法科目最高の問題集であります。
充実した解答のついていない本書において、本解答は貴重なものであると思います。特に,答案を書くにあたり,受験生が苦手とする「事実の評価部分」が充実していますので、司法試験対策には非常に有用な内容に仕上がっております。
そして、本解答は司法試験合格者に添削をしてもらった上で作成しているため、信頼できる内容になっていると考えます。 また、発展的な問題については、参考文献や参考資料を引用した上で作成もしておりますので、学習の便宜上、有意義な内容となっております。
事例で学ぶ民法演習9
第一.小問1について
1.(1)について
(1)本件において、BはCに対して①甲土地の所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記抹消登記手続請求と、②甲土地の所有権に基づく返還請求権としての甲土地明け渡し請求を請求する。これが認められるためには、Bに甲土地の所有権が認められなけれらばならないので、これの有無につき検討する。 (2)ア.まず、Bは、A所有の甲土地を無断でCに売却しているので、本件BC間売買契約は、他人物売買(560条)である。
そして、他人物売買は債権的には有効(560条)であるが、物権的には無効であるので、BC間売買契約締結時には、Cには所有権は移転しない(176条)。
もっとも、他人物売買では、特段の約定ないし意思表示がない限り売主が目的物の所有権を取得すると同時に、右目的物の所有権が買主に移転する。
以上より、Aが死亡しBが単独で甲土地の所有権を相続(896条)すると同時に、甲土地の所有権はCに移転する。
(3)よって、甲土地の所有権はCにあり、Bは右所有権を有しない以上、Bの主張は認められない。
2.(2)について
(1...