事例演習民事訴訟法 第3版(新版)の解答です。事例問題形式での民亊訴訟法演習書として本書の問題は完成度が高く、基本論点を網羅するとともに「考えさせられる」良問が揃っているため、民事訴訟法における最良の演習書であると考えます。
充実した解答のついていない本書において、本解答は貴重なものであると思います。そして、本解答は司法試験合格者に添削をしてもらった上で作成しているため、信頼できる内容になっていると考えます。 また、発展的な問題については、参考文献や参考資料を引用した上で作成もしておりますので、学習の便宜上、有効な内容となっております。
事例演習 民訴 設問11
1 証明すべき事実
(1)Xは、Yに対し、債務不履行(415)または不法行為(715)に基づく損害賠償請求訴訟を提起している。
(2)Xの請求が認容されるためには、Xが証明責任を負うべき事実を証明、すなわち裁判官が当該事実の存否を確信した状態を実現しなければならない。そして、その確信の程度は、通常人が疑いを挟まない程度に真実性の確信に達する(高度の蓋然性)ことを要する。
(3)本件訴訟において、Xが証明責任を負う事実は以下のとおりである。
ア 債務不履行に基づく損害賠償請求
①債務不履行(Yの善管注意義務違反 従業員による出火)の事実
②損害の発生およびその数額
③ ①②との因果関係
イ 不法行為(使用者責任)に基づく損害賠償請求
④被用者の不法行為
―1本件火災事故の発生
―2本件火災事故が、被用者の重過失による出火によること(失火責任法の規定による)
―3損害の発生および数額
―4 ④1と3の因果関係
⑤Yが事業のために被用者を使用していたこと
⑥被用者の火器取り扱いが事業の執行につきおこなわれたこと
2 出火の原因の証明について
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