事例演習民事訴訟法 第3版(新版)の解答です。事例問題形式での民亊訴訟法演習書として本書の問題は完成度が高く、基本論点を網羅するとともに「考えさせられる」良問が揃っているため、民事訴訟法における最良の演習書であると考えます。
充実した解答のついていない本書において、本解答は貴重なものであると思います。そして、本解答は司法試験合格者に添削をしてもらった上で作成しているため、信頼できる内容になっていると考えます。 また、発展的な問題については、参考文献や参考資料を引用した上で作成もしておりますので、学習の便宜上、有効な内容となっております。
第10問
1 A作成当時の業務日誌
(1) A作成当時の業務日誌は、そこに記載された意思や観念が、Aの違法な勧誘に役立つものであるから、書証により取り調べるべきである。
(2) もっとも、Y側が提出を拒んでいるため、提出(219)によることはできない。そこで、文書提出命令を申し立てることが考えられる(219)。
文書提出命令は、文書の所持者が提出義務を負う場合に(220)、当事者が一定の事項を明らかにして申立てを行い(221、222)、裁判所は理由があると認める場合に、その提出を命じる(223)という手続を踏む。
そこで、本件業務日誌が、220各号にあたるかを検討する。
ア 3号文書該当性
旧法下では、3号文書を拡張して解釈していたが、現行法では4号文書が新設されているため、不自然に広く解する必要はない。3号の法律関係文書は、それが本来予定しているものに限定して解すべきである。そこで、挙証者と所持者との間の法律関係自体または法律関係の構成要件要素の少なくとも一部を記載した文書を意味するというべきである。
本件では、本件業務日誌は、委託者との契約にあたっての応対内容等を記載...