事例演習民事訴訟法 第3版(新版)の解答です。事例問題形式での民亊訴訟法演習書として本書の問題は完成度が高く、基本論点を網羅するとともに「考えさせられる」良問が揃っているため、民事訴訟法における最良の演習書であると考えます。
充実した解答のついていない本書において、本解答は貴重なものであると思います。そして、本解答は司法試験合格者に添削をしてもらった上で作成しているため、信頼できる内容になっていると考えます。 また、発展的な問題については、参考文献や参考資料を引用した上で作成もしておりますので、学習の便宜上、有効な内容となっております。
事例演習 民訴 設問4
Xが、Qに代位して、Y(組合)に代金支払請求訴訟を提起。
当事者能力および当事者適格の観点からみて適法か
第1 当事者能力について
1 当事者能力とは、訴訟の当事者となりうる一般的な資格をいう。
本件では、Y企業体、A、Bが共同被告とされているところ、A,Bは、法人であり、権利能力を有するので、被告として当事者能力を有する(28条)。
しかし、Y企業体は、ABが出資をして、公園建設工事の請負事業を営むことを目的とすることを約して成立した「組合」(民法667条1項)である。そのため、法人格がなく、当事者能力は認められないとも思える。
2 もっとも、29条によって、組合に当事者能力が認められると解する。
なぜなら、ある団体が29条の対象である法人格なき社団か、組合であるかを外形から判断することは容易ではなく、また構成員全員を被告として訴えを提起する負担を軽減するという同条の趣旨は、組合にも当てはまるからである。
そこで、代表者の定めがあれば、組合にも当事者能力が認められるといえる。
3 本件では、Y企業体の代表者としてAが定められており、29条によって、Y...