『星の王子さま』子供では理解できない大人の作りあげた子供論
星の王子さまでは、子どもである王子さまと、子ども心を持っている(と思っている)書き手の二人を通して、『子どもとは?』を語りかけるような作りになっている。
しかし、子どもを描いているつもりでも、やはり大人の視点であることを感じさせられる部分が多数見られる。それは、王子さまのキャラクターの矛盾性である。前回小学校6年生の時に内藤濯氏の訳で初めて読んだ時にも感じたことなのだが、(その時は訳もややこしかったので、そのせいだと感じていた。)子どもには理解しづらいキャラクターではないか、ということである。
P.127~の狐との対話から、
「これから、僕の知っている秘密を教えてあげるよ。とても簡単なことさ。心で見なければ、よく見えてこない。大切なものは目には見えないんだ」
「大切なものは目には見えない」と王子さまは何度も口に出して、しっかり覚えようとしました。
「君がバラのために失った時間後こそが、君のバラをかけがえのないものにしているんだよ」
「僕がバラのために失った時間こそが……」と王子さまは何度も言って、しっかり覚えようとしました。
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