題目 心拍数の測定
目的
交感神経系(sympathetic nervous system)と呼ばれる自律神経系の活性化は、人間の感情的興奮によって生じる生理的変化を起こしていると言われる。これは、緊急行動に適した身体を準備し、①血圧や心拍数の上昇、②呼吸数の増加、③瞳孔の拡張、④発汗の増加と唾液や粘液の分泌の減少、⑤血糖値の増加、⑥負傷による血液の凝固速度を速める、⑦胃・腸から脳・骨格筋への血液の方向転換、⑧皮膚の毛の逆立ち、鳥肌などといった症状を引き起こす。このように生態にエネルギーの出力の準備をさせた交感神経系は、感情が静まるにつれて休息時に働く副交感神経系(parasympathetic nervous system)が優勢となり生態を通常の状態に戻そうとする。そしてこれらの効果は、特に強い否定的感情によって引き起こされるとされ、ある実験では、血圧や心拍数の増加を生み出す発話課題(否定的感情を促す)に対して、肯定的感情(喜び、安堵)と中立的、あるいは否定的感情を引き起こす刺激を呈示された場合、肯定的感情刺激の方が持続する否定的感情による覚醒からのより早い心臓血管の回復をもたらすことがわかった。(Fredrickson,Mancuso,Branigan,&Tugade,2000)
では、これらの効果によって引き起こされる身体変化として心拍数を取り上げたとき、難易度の違う課題を与えられた場合においてどのような心拍数の変化が見られるだろうか。仮説は以下の2つである。
≪仮説1≫
課題が与えられていない時と課題に取り組んでいる時とでは、課題に取り組んでいる時の方が、課題の与えられていない時よりも心拍数が高くなる。
≪仮説2≫
難易度の高い問題と低い問題とでは、高い問題に取り組む方が心拍数は低い問題に取り組むよりも高くなる。
以上の仮説を検討する為に今回実験を行った。
問題
感情の変化によって交感神経系と副交感神経系が働き、心拍数がどのように変化するかを検討する。
方法
実験日:2006年11月20日
被験者数 10人 (男1人 女 9人 )
平均年齢 20歳
測定・データ処理機器:
竹井機器工業製 心拍メモリ装置
被験者の身体に装着しデータを記録する。
竹井機器工業製 インターフェースⅡ型
心拍メモリ装置に記録したデータを入力する。
測定方法
装置を用意し、被験者の腕をアルコール消毒する。
左腕に1個(+)、右腕に2個(左を+極、右の肘側を-極、手首側をアースとする) 電極を装着し、電極コードに接続する。
右腕手首―緑(アース)
右腕肘―黒(-)
左手首―赤(+)
心拍メモリ装置にコードを接続し、モニターをONにしてブザー音を確認する。
心拍メモリー装置を10sに設定した上での電源を入れなおし、カテゴリーを開始時の0に設定したところで教示を開始する。
【教示内容】
ノイズCDを2分間再生し、時間はストップウォッチで計測する。5秒前からカウントを始めて停止すると同時にカテゴリーを1に切り替える。
教示を行う。
【教示内容】
課題CD再生と同時にカテゴリーを2に切り替え、ストップウォッチを始動する。2分間の再生の後、5秒前からカウントし、終了と同時にCDを停止、メモリ装置の電源をOFFにして測定法切り替えはSTOPにする。
この手順で、3桁数列と5桁数列の2つの刺激を交互に2回ずつ測定する。
結果
まず、3桁課題、5桁課題それぞれについてデータを元に集計した表をexcelで作成し、1分間あたりの心拍数の平均値と
題目 心拍数の測定
目的
交感神経系(sympathetic nervous system)と呼ばれる自律神経系の活性化は、人間の感情的興奮によって生じる生理的変化を起こしていると言われる。これは、緊急行動に適した身体を準備し、①血圧や心拍数の上昇、②呼吸数の増加、③瞳孔の拡張、④発汗の増加と唾液や粘液の分泌の減少、⑤血糖値の増加、⑥負傷による血液の凝固速度を速める、⑦胃・腸から脳・骨格筋への血液の方向転換、⑧皮膚の毛の逆立ち、鳥肌などといった症状を引き起こす。このように生態にエネルギーの出力の準備をさせた交感神経系は、感情が静まるにつれて休息時に働く副交感神経系(parasympathetic nervous system)が優勢となり生態を通常の状態に戻そうとする。そしてこれらの効果は、特に強い否定的感情によって引き起こされるとされ、ある実験では、血圧や心拍数の増加を生み出す発話課題(否定的感情を促す)に対して、肯定的感情(喜び、安堵)と中立的、あるいは否定的感情を引き起こす刺激を呈示された場合、肯定的感情刺激の方が持続する否定的感情による覚醒からのより早い心臓血管の回復をもたら...